現代美術下見@クリスティーズ&サザビーズ。

オークションが終わったので、先週末は自分への慰労と御褒美の意味も込めて、「禁断」のステーキ・ハウスへ行った。

メンバーは妻とその友人で、大食を誇るピアニストH女史。行った店は5番街に最近進出してきた「BEN&JACK'S」で、この店名ともなっている2人は超有名店、「PETER LUGER」出身者である。結果から云うと、筆者がNYに9年前に来てから食したステーキの中で一番美味しかった!!

ハッキリ云って、「P.L.」の雰囲気が欲しければ別だが、カードが使えず予約も取れないブルックリンの「P.L.」に行く必要は、もう無い。メインのポーター・ステーキとリバイは文句なしの超美味で、サイドに頼んだスライス・フライド・ポテト、オニオン・リング、ホウレン草ソテーも当然合格点。どれ位旨いかというと、食べ切れずに持ち帰った肉を翌晩ご飯に載せ、山葵を付けて「ステーキ丼」として食べたのだが、これがまた最高に旨く、都合丸二日楽しめたのだ。オススメです。

さて久々の週末オフだったので、ステーキの「懺悔」を兼ねての散歩がてら、妻と両オークションハウスの現代美術の下見会に訪れた。

先ずクリスティーズ。今週水曜開催のこのセールは、「FIRST OPEN」と名付けられ、初級コレクター対象のもので、価格的にも安い物が多い。目玉は相変わらずウォーホルの「FLOWERS」で、エスティメイトは50万ドルー70万ドル。

価格的にはどこが初心者向けか判らんが、個人的にはこういった作品には飽き飽きである。筆者が興味を持った作品は、まずKIKI SMITHのブロンズの鹿「SMALL DEER」、この作品は春日神鹿の様で可愛いく、$12-18,000。またGAVIN TURKの「BRILLO 5」、これは一見只の開き掛けのダンボール箱なのだが、何とペイントされたブロンズで出来ていて、かなり重い。間違えて誰か蹴っ飛ばさなければ良いが。玄関にさり気無く置いて誰かに持ってこさせる、と云うのも一興かも知れない。2万ー3万ドル。日本人アーティストも村上、草間、宮島が出ていたが、その中では宮島作品が最も良かった。

対して、木曜日にオークションのサザビーズ。こちらもサブ・セールなので、比較的廉価作品が多いが、ハッキリ云ってこちらの方が、クリスティーズよりも作品のラインナップは面白かった。

カバー・ロットは相変わらずのウォーホル(キャンベル・トマト・スープ:25万ー35万ドル)だが、先ず筆者の興味を引いたのは、大ファンであるJENNY SAVILLEの写真作品「CLOSED CONTACT」シリーズからの2点。

超デブな女性をアクリルに押し付けて写真を撮っていて、それが巨大なアクリルボックスに成っている。この人の作品は、醜くかったり血まみれだったりするのだが、眼を離す事が難しい、何とも異様な力を持っているアートで、欲しくても部屋に飾れないタイプのアートなのである。展示室があれば…と思うのは自分だけではないだろう。各$10,000ー15,000。

RUUD VAN EMPELの大作「WORLD #17」も、可愛く美しいが、もしかしたら飽きるかもしれない。$45-65.000。その他も写真作品や、新らし目のアーティスト作品が充実しており、日本人作家では村上、奈良、草間、杉本、杉戸洋アラーキー、そして珍しい事に菅井汲が4点出ていた。

全体的に現代美術に於いては、中・低下価格層の作品が安くなって来ている様に感じた。数年前にオークションに出た作品がマーケットに戻って来ているし、エスティメイトも安くなっている。11月のメインも楽しみではあるが、マーケットがどう動くか心配且つ興味深い。

しかし今は、もしかしたら買い時なのかも知れない。ビッドしてみようか・・・。