2011春、「印象派・近代絵画イヴニング・セール」速報!

しかし、如何に自国の洪水被害に対する最大救援者がアメリカで有ったとしても、パキスタン政府は、良く海兵隊に拠る40分間のビン・ラディン「処刑」を黙認したものだ…ビン・ラディンの所在に就いては恐らく協力をしただろうが。

そして最近、ビン・ラディンが「丸腰」で有った事も報道された。想像するに、ビン・ラディンが襲撃された時に見つかったのは寝室だったらしく、幾ら抵抗したと云っても、枕や時計を投げ付けた位で有ろうから、これは確信犯的「殺害」が疑われる。と云う事は、この下された「正義」と云うのはやはり「処刑」で有って、確か15州程が死刑制度が無いアメリカでの「民意の相違」とは云い難いのでは無いだろうか…因みに、直接的テロ被害に有ったマンハッタンの有るニューヨーク州では、2004年に死刑が違憲で有るとの判決が出ており、ワシントンDC特別区には「死刑」制度は無い。

その後、ニューヨークの警備は厳重さを増し、地下鉄でも抜き打ちの所持品検査が有り、街には機関銃を持った州兵が歩く。オバマグラウンド・ゼロに来る今日等は、もうマンハッタン中の道路は至る所で閉鎖され、車ではにっちもさっちも行かないだろう。

さて今週開催された、両オークションハウスの今年の春の「印象派・近代絵画イヴニング・セール」の速報である。

先ずは、火曜日に行われたサザビーズ。59点の出品中45点売却(76.2%)、売り上げ総額は1億7047万8000ドル(約139億8000万円)で有った。トップ・ロットはピカソの「読書する女達」(1927)で、2136万2500ドル(約17億5200万円)だったが、エスティメイトが2500-3500万ドルだった事を考えると、ハンマー・プライスの1800万ドルは、かなり頑張ってリザーブ・プライス(底値)を下げて売った結果に違いない…苦しさが窺えた。

その他に1000万ドル以上で売れた作品は2点で、ゴーギャンの木彫「若いタヒチ女」が1000-1500万ドルのエスティメイトに対して、1128万2500ドル(約9億2500万円)での落札、これも苦しかったに違いない。もう一点の、これは誠に素晴らしいヤウレンスキーの作品「緑の扇を持つ女」も同額での落札だったが、こちらはエスティメイトが800-1200万ドルだった事を考えると、ハンマー・プライスもエスティメイト内で順当で有った。

この晩のセールの主役はやはり「ピカソ」で、8点オファーされ2点不落札、総額5011万ドル(約41億円)でこれはセール全体の30%に相当するが、しかし高額作品が売れなかったり、ハンマープライスエスティメイト下限に届かなかったりしたのが、少々心配である…まぁピカソの値段は、ここ数年高過ぎるのも事実であるから仕方が無いのかも知れない。

そして一方、レオナルド・ディカプリオも来場しビッドをした、昨晩開催のクリスティーズ・イヴニングはと云うと、57点中47売れ(82%)、総額1億5599万5500ドル(約127億9000万円)を売り上げた。トップ・ロットは、アメリカの個人コレクターが買ったモネの「ポプラ並木」と、この分野での世界最強画廊の一つである「アクアヴェラ」が買った、ヴラマンクの「郊外の風景」の2点が同額で2248万2500ドル(約18億3800万円)、これはヴラマンク作品のオークション世界記録と為った。

1000万ドル以上で売れた作品は、このモネとヴラマンクの他に2点有り、ピカソの「アルジェの女達 ヴァージョン・L」が2136万2500ドル(約17億5000万円)、マティスの「開けられた窓」が1576万2500ドル(約12億9000万円)で有ったが、モネのもう一点の高額作品、1500万ドルのエスティメイトだった「アイリス」は、残念ながら不落札…サザビーズ同様、昨晩のクリスティーズも1000万ドルを超える作品と為ると、ビッダーの方も値段を細かく刻んで来たりして、一筋縄では行かない感じだったが、其処は流石世界のオークショニア、クリストファー・バージ(彼の若かりし頃の勇姿は、'87年度作品の映画「ウォール街」をご覧下さい)の華麗なるテクニックで、結果を出した。

セール後はVIPクライアント氏と、フラット・アイアンのイタリアン「C」でディナー。オークション後に、旨いイタリアンを食しながら、その晩のセールや作品、マーケット等に就いて話すのは、もう愉悦の極地である…そして今週末には、そのディナーでも話題となった「現代美術」の下見が始まる。

今回のクリスティーズの現代美術イヴニング・セールのラインナップは、本当に粒揃いで、重要なウォーホルの初期と晩年の自画像3作品(下値が各々、3000万、2000万、600万ドル)、ベーコンも2作品(Estimate on Requestと1000万ドル下値)、そしてニューヨークにお住まいの方に是非観に行って頂きたいのが、大き過ぎてロックフェラー・センター内に展示出来無い為、51丁目とパーク・アヴェニューの「シーグラム・ビルディング」に展示中の「Untitled(Lamp/Bear)」と名付けられたアース・フィッシャーの「巨大テディ・ベア」。このベアの価格は「Estimate on Request」、サイズは何と「7 x 6.5 x 7.5m」である(→http://www.christies.com/LotFinder/lot_details.aspx?from=salesummary&intObjectID=5437849&sid=0489001e-5575-4449-b381-a16c2abab5f8)!

今週末は、「コンテンポラリー・ウィークエンド」を楽しもう!