2つの嬉しい「再会」。

昨日は午後から、M学院大学で講師をしているS氏の依頼で、ゼミの学生に話をする事になっていたのだが、台風の為に休講となった。そんな訳で、台風一過の青空の下、東博の「皇室の名宝」展を観に行く事にした。

二回に分けて開催されるこの展覧会、今回は絵画と明治の工芸が中心となっている。流石に素晴らしい作品が多く、目玉は永徳の「唐獅子図」や若冲の「動植綵絵」等だが、見終わった後の筆者ベストは、意外と思われるかも知れないが、北斎の「西瓜図」であった。因みに次点は桃山の「万国絵図屏風」である。

実は数日前、前述のS氏のお宅で、何人かの方と「到来茶会」で一座を共にした際、内覧をしていたS氏から「献上作品には、固い作品が多い」との意見が有ったのだが、筆者も全くその通りだと思った。その点ディテールの美しい北斎の「西瓜図」は、「何でこれが皇室に?」と言う点も含めてユニークで、展覧会中異彩を放っていたのだった。

特別展を後にし、常設展に行くと、偶然にも懐かしい「再会」があった。伝運慶作「木造大日如来坐像」である。今年重文に指定されたこの仏様を、去年の四月まで自由に触ったり、匂いを嗅いだりしていたと思うと夢の様だが、再会したお像は相変わらず美しいお姿であった。合掌し、この一年半の息災を感謝して、東博を後にした。

その後、広尾に移転した山種美術館の「速水御舟」展を観賞し、楽しみにしていたH氏との夕食に向かった。H氏はまだお若いが、芥川賞を始め数々の賞を受賞されている、純文学の「王道」を行くアーティストである。最初にお会いした時にH氏から受けた、アート全般に対する真摯な「情熱」と、「冷静」な批評精神は、筆者が決して許容出来ない、上記類似タイトルの大ベストセラー作家(?)等とは180度異なる骨太であったのだ。そんな訳でH氏に敬意を持った筆者は、海を越えてメル友の様に為っていたのだった(笑)。

食事中も、自作品、春樹・隆のW村上、漫才から映画迄、有りとあらゆる話題が飛び交ったが、アート全般の好き嫌いや、お互い共感する事が多く、特にムカつく人間や体制には溜飲を下げ捲った(実名出して書きたい事が山の様に有るのだが、大人ですから…笑)。Hさん、次回は是非夫婦同士で行きましょう!

イヤハヤ何とも嬉しい二つの「再会」を果たした、大満足の一日でした。