遠州宗家のデモンストレーション@JAPAN SOCIETY。

昨日は長かったサムライ・セールの下見が終わり、終日ビッドを取るのに奔走したのでクタクタであったが、ジャパン・ソサエティーでの遠州流家元による、デモンストレーションに招待されて行って来た。

コロンビア大学で日本文化を研究されている、ヴァーリー先生のモデレーションで始まり、柳生真陰流のデモンストレーション、そして13世家元の小堀宗実氏による、デモンストレーションが行われた。

このイベントは、メトロポリタン美術館が「大サムライ展」を催す事が決定して以来、筆者は「これは大チャンス!」と、MET展開催に合わせてこの地NYで「サムライ・ウイーク」を施行し、町の話題を「SAMURAI」一色にしようと企てたのが、実はそもそもの始まりだったのである。そうなれば、「善は急げ」。まず我社で「サムライ・アート・セール」を企画決定し、その後ジャパン・ソサエティに、例えば「サムライ・フィルム・ウイーク」の様な企画が実現できないかを話し始めたのだった。

その当時、武者小路千家家元後嗣の千宗屋氏がNYに滞在されており、常々お互いに「世界に於ける茶道のあり方」を話していたのだが、筆者としても、この世界文化発信基地であるNYでは、色々な流派が活動すべきである、との認識を新たにしていた。

そこで閃いたのが、遠州流茶道である。NYで「茶道」といえば千家のお茶であり、元来武家の茶である遠州流は、未だNYに於いてもキチンと紹介された事が無く、もし遠州流がデモンストレーションをやれば、千家の茶との違い、「サムライ・ティーの紹介」としても成り立つのではと考えた。この事をNY茶道界の重鎮D氏に相談したら、彼も大賛成。幸い筆者も、以前何度かお家元にお目に掛かった事も有り、早速ジャパン・ソサエティーがお家元に近い方を通して尋ねると、二つ返事でOKの答えが来たのだった。

さてデモンストレーションは静かに進行したが、途中可笑しい場面があった。お茶が点てられ、家元が主客のヴァーリー先生に、服加減を「如何ですか?」と尋ねると、先生はちょっと首を振り「ソー、ソー」(マァマァの意)と答えたのだった!流石外国人、自分の意見をハッキリ言う(笑)。

その後質疑応答があり、例えば千家流のお茶との違いや、遠州流の歴史等への質問に家元が答えられたが、少々固かったか。また家元のお点前は、距離が有ったので細部まで良く見えなかったのだが、やはり千家流とは異なった所作が随所に見られ、非常に興味深かった。

その後色々と考えた。「大名茶」は確かに「貴人」の茶だが、やはり利休の影響は巨大な筈で、利休の弟子であった三斎や織部の様に「大名」であっても、元々商人出身の茶人、利休の弟子になったという事実は、彼らの度量の大きさと共に、武士の「茶道」と云う芸術に対する、深い尊敬と羨望を証明するものと、改めて感服した。

またその反面、厭くまでも個人的意見であるが、「大名」という「本職」を持つ武人が「趣味」としてやる茶は、利休の様な「プロ」の茶とは本質的に異なり、誤解を恐れずに云えば、やはり利休の茶は大名のそれより、アートとしてより「厳しい」のだと思ったのも事実であった。

明日のオークションの手応えは、「もしかしたら旨く行くかも」。さて、頑張らねば!!