またもや、大敗…現代美術「イヴニング・セール」。

「もう、やってられまへんがな」である(笑)。

昨日一昨日で、クリスティーズサザビーズの「現代美術イヴニング・セール」が終わったのだが、結果から云えばまたもや大敗・・・。今日はその悲しいレポートである。

まずクリスティーズ。46ロット中39ロット売れ、総売上は7,400万ドル強(約66億6千万円)。セール結果だけ見れば、決して悪くない数字である。その晩の最高落札価格は、ピーター・ドイグの「Reflection」で、1,016万2千5百ドル(約9億円強:エスティメイトは400万ー600万ドル)、唯一の1,000万ドル以上での売却作品であった。大問題はトップ・ロットだったバスキアが、筆者の予想通り不落札であった事だが、それでもドローイングと紙作品のアーティスト・レコードも2点出、またこの日のセールに含まれた、舞踊家マース・カニングハム実験音楽ジョン・ケージカップル・コレクションは100%売れ、何とか面目を保ったのだが。

それに対して、印象派の大勝以来、波に乗るサザビーズは、コンテンポラリーでも大スパーク。55点中不落札は何と3点のみで、一晩で1億3,400万ドル強(約120億6千万円)の出来高だったのだ・・!恐るべしサザビーズ、敵ながら天晴れ。サザビーズも1,000万ドル以上で売れたのは1点のみだったのだが、クリスティーズとの大きな違いは、トップ・ロットであるウォーホル「200 One Dollor Bills」が、900万ー1,200万ドルの落札予想価格に対して、何と4,376万ドル(約39億円)で、その晩の最高価格作品として売れた事だ。

このウォーホルの価格は、ハッキリ云って高過ぎだし(決して負け惜しみでは無い!)、正直あんな作品に40億も出す奴の気が知れない。正しく異常事態である。一体全体、「不景気」は何処に行ったのだ!!せっかくリーマン・ショック以来、マーケットが整理されて、少しはアートの品質と価格の調整が為されて来た所だったのに、元の木阿弥である!何れにせよ、アート・マーケットは順調らしい・・・少なくともサザビーズは(笑)。

「大敗」は悔しいが、マーケットが強くなるのは嬉しい。しかし、クオリティの低い作品が高く売れすぎるのは、長い眼で見れば、決して宜しくないと筆者は心より考えている。正直ボーナスも欲しいし、純粋なマーケットも望ましい。

あぁ、何てアンビバレントなのだろう・・・。と云う事で、涙を拭いて、今日の報告はオシマイ。