「ジャパン・エロス」とは?

今日は、亡くなった叔母の家の片付けを手伝った後、日本橋三越で開催中の、十二代三輪休雪「愛壺展」に。
会場に入ると、一種独特の雰囲気に呑み込まれる。暗い会場に大小並ぶ「愛壺」は、一見そうは見えない「萩焼」の焼物であるが、その金色に輝く器体は、シルクロード的造形に花やハート、蝶等の装飾が施された、所謂「蓋物」作品である。

萩焼を通しての、「エロス」表現をライフ・ワークとしているこの作家の新作は、照明や敷布の色に因って、その鏡状の金色の趣を刻々と変える。これは「金」と云う、上品にも下品にも簡単に性格を変える、ある種「気紛れ女」的色彩が、艶かしい作品のボディをよりセクシーに見せ、会場は或る種「夜の宮殿」の様を呈していた。因みに十二代休雪は、筆者の妻の父親である。
岳父に挨拶後、ミッドタウン(東京である…笑)のサントリー美術館にて始まった、鏑木清方の回顧展「清方ノスタルジア」へ。

清方は、深水、五葉、松園等と共に、江戸期浮世絵美人画の、近代に於ける正統なる継承者であるが、この中でも女性の「色気」を描かせたら、その「筆捌き」と共に彼の右に出る者は居ない。

昨今の現代美術に観る様な、直接的「エログロ」とは一線を画す「想像エロス」満載の、例えば「妖魚」や「春の夜のうらみ」に観る清方の女達は、観る者(男)に「この女は、夜床ではどの様に変貌するのだろう?」と云った妄想を喚起させる。あぁ堪らん…(笑)。

「日本的エロス」とは、「妖しい変貌」を「想像する」事なのかも知れない…。と云う事は、現代で最も日本的なエロスは、「着エロ」とも云えるか(笑)…それもまた、いとをかし。