「オスカー」が今年微笑む美女。

未だ時差ボケの中、忙しくてフラフラ…。

そして来週火曜からは、数日間再び日本へ行き、翌週戻ると直ぐ今度は国内出張が待っていて、考えただけで気が遠くなる。クレイジー・ケン・バンドでは無いが、「お・ね・が・い…た・す・け・て!」で有る(笑)。

その日本出張期間中に、東京で始まる見逃せない展覧会が有るので、今日はその事から…その展覧会とは、虎ノ門菊池寛実記念智美術館美術館で19日から始まる、「三輪壽雪・休雪ー破格の創造」展。

この展覧会は、昨年末惜しくも102歳で亡くなった人間国宝三輪壽雪(拙ダイアリー:「『手』の歴史」参照)と長男の十一代休雪の代表作を展示し、長州藩の御用窯として萩焼を作り続けている家系に生まれた2人が、その伝統の上で表現して来た個性と創造力を紹介する。

特に休雪作品は、初期の「ハイヒール」から最近の「龍人伝説」シリーズ迄を俯瞰し、作家のライフ・テーマで有る「エロスとタナトス(愛と死)」の具現化を30点以上の作品で観る事の出来る、貴重な機会と為りそうだ。

また、3月31日迄の会期中には、智美術館館長の林屋晴三氏や(1/26:15時-)、山口県立萩美術館浦上記念館学芸員の石崎泰之氏の講演会(2/23:15時-)、そして作家自身に拠るギャラリー・トーク(2/16:14時-)や、「男と女について」と題された、極めて楽しみな講演会(3/16:15時-)も予定されて居て、実は筆者は岳父のこの講演会に1番興味が有るのだが、残念ながらオークションの下見会中で、ニューヨークを離れられない…何方か聴いて、どんな話だったか後で教えて下さい(笑)。

さて、今日の本題…一昨日、「オスカー・ノミネーション」の発表が有った。

今回のオスカー・ノミネーションでは、特に俳優部門で、既に受賞経験が有ったりノミネート経験の多い役者が多くノミネートされて居て少々目新しさに欠けるが、云い方を替えれば実力派が揃ったと云う感じか。

それは例えば、助演男優賞候補のデ・ニーロ、トミー・リー・ジョーンズフィリップ・シーモア・ホフマン助演女優賞候補のサリー・フィールドヘレン・ハントエイミー・アダムスアン・ハサウェイ、主演男優賞候補のダニエル・デル・ルイス、デンゼル・ワシントンヒュー・ジャックマンと云った俳優達の事なのだが、若しかしたら或るヨーロッパの作品に出演した、老年の主演俳優2人が今年のオスカーの「台風の目」に為るかも知れない…。

その作品とは、ミヒャエル・ハネケ監督作品の「Amour」(邦題は「愛、アムール」…何でそのまま、「アムール」としないのか理解に苦しむが)、主演俳優はジャン・ルイ・トラティニアンとエマニュエル・リヴァで有る。

この作品に関しては、以前此処に記したので繰り返さないが(拙ダイアリー:「『愛の殺人』と『ワン・パターンの美学』」参照)、この美しくも「救いの無い」作品が作品賞を始め、監督賞、主演男優・女優賞候補に挙がって居る所を見ると、アカデミーのこの作品への思い入れが知られて余り有る。

そしてその思い入れを別にしても、2人の主演俳優の演技は映画史上に残ると云っても過言で無い程に本当に素晴らしく、トラティニアンとリヴァのコンビは、何方も各主演賞の有力候補に間違い無い。またそのハネケ監督も、スピルバーグアン・リー、そしベン・アフレック等がノミネートされて居る監督賞候補に挙がって居るので、もし受賞したらその時に見せるであろう、とても筆者には想像出来ない彼の『笑顔」を是非とも見てみたい(笑)。

が、何と云っても筆者が1番注目しているのは、「主演女優賞」だ!

主演女優賞にノミネートされたのは、上記「Amour」のリヴァ(85歳)の他に、「ハッシュ・パピー」で史上最年少ノミネートのクワヴェンジァネ・ウォレス(9歳!)、2004年のスマトラ津波を舞台として居る為、日本では公開されないかも知れない作品「インポッシブル」のナオミ・ワッツや、再びマッチョ振りを発揮しているキャスリン・ビグロー監督作品、ビン・ラディン暗殺を描いた「ゼロ・ダーク・サーティー」のジェシカ・チャスティン、そして「シルヴァー・ライニングス・プレイブック」の可愛くセクシーなジェニファー・ローレンスと云う、実に新鮮且つ「美女尽くし」の顔触れで、この賞が最も激戦では無いか。

因みに、先日発表された「Critic's Choice Film Awards」(放送映画批評家協会賞)では、「Tree of Life」(拙ダイアリー:「『自己の存在理由』と『循環の概念』」参照)や「The Debt」で美しさ極まる演技と存在感を示した、大好きなチャスティンが主演女優賞をゲット、また主演男優賞には誰も聞いた事が無い筈の「声」迄ソックリだと評判の(笑)、リンカーンを演じたダニエル・デル・ルイス、そして監督賞と作品賞は、何とベン・アフレックと彼の作品「Argo」が受賞した!

アフレックは俳優としても監督としても、個人的には正直「?」な感じだし、何も「アカデミー賞」が世界最良テイストを持っている等少しも思って居ないが、もし上記した強敵を薙ぎ倒して作品・監督賞を取ったなら、「その将来を『少し』見てみよう」と云う位は思う知れない(笑)。

「第85回アカデミー賞」の発表は月24日。その前哨戦の「ゴールデン・グローブ」は今度の日曜、アカデミー賞に最も近いと云われる「SAG Awards」(Screen Actors Guild Awards)の授賞式は、今月の27日。

そして激戦の「主演女優賞」…85歳の名女優が獲るに相応しいとも思うが、個人的に獲って貰いたいのは、矢張り美しきチャスティンだ。背に腹は代えられないので有る(笑)。

今年、オスカーに微笑まれる「美女」は誰だ?