日本の現代美術フェアに、「ユートピア」は有るか。

お分かりとは思うが、「もう、イヤッ!」の、ゴムパッチン二人組の事では無い(笑)。

今日は先ず、東京美術倶楽部で開催中の「TCAF2009」に。このイベントは、67の現代美術ギャラリーが集まり、倶楽部の3、4階にブースを作ってのフェアである。

この日はたまたま、倶楽部の2階で表千家の「大寄せ茶会」が催されており、ビルの玄関付近には、数多くの和服姿の女性が集っており、日を間違えたかと錯覚した程であった。折角の各々の雰囲気が壊れてしまうので、倶楽部も「貸し出しの組み合わせ」を良く考えるべきで有ろう。

さて全てのブースを拝見したが、残念ながら筆者が「欲しいっ!」と思った作品は、一つとして無かった。個人的趣味も有るだろうが、作品クオリティの低さは否めない。今回のフェアのコンセプトは、45歳以下のアーティストの作品を中心とする、と云う事らしいが、先ず「年齢」で区切る意味が解らない。今後このフェアを持続する為には、何はともあれ「クオリティ」を最重視する事だと思う。

知り合いの何人かのディーラーと話したが、彼らが云うには、レセプションには多くの人が来たが、売上はイマイチだとの事。クオリティが低いのだから、当然である。もういい加減「内輪ウケ」に満足せず、海外の現代美術関係者が「来たい、観たい、買いたい」と思う様なフェアを、関係者は目指さねばならない。この秋のNYの現代美術が、あれ程売れたのだから尚更であろう…。

その後は、倶楽部から出光美術館で開催中の、「ユートピア―描かれし夢と楽園」展へと移動。館蔵「吉野龍田図屏風」や、「鍋島松竹梅文尺皿」等の名品に舌鼓を打った。

美術品は、「品質」が命である。