アートで儲けるには、どうしたら良いか。

一昨晩はジャパン・ソサエティーで、毎年恒例の「新年会」に参加。

「日本のお正月をNYで」と云う事で、獅子舞有り、御節やお雑煮有りで、皆さんホロ酔い気分。桜井理事長や西宮総領事、その他諸々の人との新年のご挨拶に歩き回り、3月のオークションに何が出るか、経済の先行きはどうか等と、話題が尽きなかった。

さて、そのレセプションでも出た話だが、ウォール街の金融企業は散々「人の金」を使って復活した末、今年は恐らく「史上最大額」のボーナスを出すと云う・・・空いた口が塞がらない話だ。

大体「アメリカ金融大手」の人間達は、一体どんな「倫理感」を持っているのか。「頂いた公的注入資金は、既に全額返済し業績回復もしたのだから、『巨額ボーナス』は当然である(今回『でも』、花形ディーラーなどは10億円以上貰う!)」等と「公聴会」で明言した金融大手4社のCEO達は、当に「厚顔無恥の極み」であろう。そもそも「我々の」税金である公的資金が注入されなければ、今現在「存在すら出来なかった」連中が、回復したらもうこっちの物とばかりと云うのは、余りに虫の良い話では無いか。

筆者が「倫理感」と云うのには、理由が有る。景気が悪くなり、一般庶民は異常な低金利でも我慢して来た。そして金融諸社の貸し渋りに拠って、多くの中小企業が倒産し、倒産せずともレイオフが行われた。公聴会でもCEO達が「謝罪」した様に、元々今回の金融不安から始まった悪景気は、彼らが「過剰な利益追求」の為に作った、余りにも「リスキーな金融商品」のせいである。「自分達のせいです・・・」と認めながら、でも「報酬は頂きます!」と開き直る態度は、マジ腹が立つ。

そんなに業績が回復しボーナスが払えるならば、況してや「社会」に助けてもらった企業ならば、先ず「社会還元」すべきで、例えば中小企業への「優しい」金融商品の開発、一般者預金金利の(一定期間でも)上昇、大地震のあった「ハイチ」への支援、新しい医療基金の設立等幾らでも有るだろう。一人に「ボーナス」として払う「一千万ドル」があれば、ハイチの人間が何人救えるか、考えてみよ・・・!!。こう云った倫理感が皆無なのである。

金融に勤める人全てがそうとは云わないが、しかし「金の亡者」が多すぎる。美術品のコレクター達にも、そんな「金の亡者」が居るのも事実だが、しかし筆者の経験から云うと、そう云った人間が集めたアートは、絶対的に「最高のコレクション」にはならない。

何故ならば、そう云う人間は、アートを「金」としか観ておらず、青臭い事を云う様だが、其処には「愛」が無いからだ。筆者はそもそも、「アート」を投機目的で買う事には「大反対」の立場で有るが、それは、オークションでは何時でも「愛された」アートの方が、結果的に「大きな財産」を産むと云う事を知っているからである。

愛せるアートを探し、買い、愛し続ける。そうすれば、いつの日かそのアートを手放す時に、アートの方で愛された「お返し」をしてくれる「かも」知れない。信じる者は救われる・・・だから「儲」と云う字は「『信』じる『者』」と書くのだ(笑)。

世の中、そんなモノである。