It's Already the End of the World : Brian Alfred @Haunch of Venison

昨日はHaunch of Venisonで開催されている、ブライアン・アルフレッドの展覧会「It's Already the End of the World」を観てきた。

この作家はピッツバーグ生まれ、現在はブルックリンで制作をしている35歳のアーティストで、今回の展覧会は彼の14の絵画、コラージュ、ヴィデオ・アートを含む新作展である。この作家は、「グローバリゼイション」「大衆不安」「政治的・社会的反体制」「影響力の或る人物や場所」と云った事象に触発されて制作を続けているのだが、今回の新作も強烈なメッセージ性と共に、観る者の眼に飛び込んでくる。

会場を入ると、先ず200 x 180cm.のミャンマーの非暴力民主主義指導者「アウンサンスーチー」と、230 x 190cm.のメキシコ人アーティスト「ディエゴ・リヴェラ」の「巨大肖像画」が来場者を迎える。この作品の大きさと、誰もが「メディアで見た事の有る」その反体制者達の「顔」は、観る者を圧倒する。

更に、今回のアルフレッドの新作のテーマでも有るのだが、我々が日頃持っている「世界」の認識が、如何に「情報の偏在」に因って歪められているか、を問う。そして、ニュー・メディア・テクノロジーを通して、「情報」が我々にシェアされ拡散して行く過程を、「世界」がどの様に変化させて来たのかを、この作家は「ヴィジュアル」に拠って明確にしながら、検証するのだ。

このアーティストの作品は、ちょっとジュリアン・オピーを思わせる様な、ポップなペインティングとアニメーション(「It's Already the End of the World」)なのだが、その外見とは裏腹なハード・コアなコンセプトは、中々に力強く興味深い。

また驚くべきは、この展覧会に含まれている、2点の日本人の「ポートレイト」…絵画作品「Fusako」と、そしてもう一点はコラージュ作品「Okamoto Kozo」。この「Fusako」とは「重信房子」の事で有り、「Okamoato」は「岡本公三」、両者ともご存知「日本赤軍」のメンバーである。「反体制、此処に極まれリ」であろう。

もう一点付け加えるが、昨晩この展覧会場で、貧困に喘ぐ子供たちの為の「チャリティー・オークション」が開催された。当社とHaunch of Venisonの共催、NYのギャラリーや作家達が作品を提供し、「サイレント」(入札)と「ライヴ」のオークションを行ったのだが、結果は「サイレント」は9割、「ライヴ」は100%完売し、イベントは大成功に終わった。

会場では、世にも美しい女性達(本当に美しい女性ばかりであった…)がシャンパン・グラスと共に談笑し、洒落た男性達は「反体制アーティスト」の作品の前で、貧しい子供たちへの寄附の為に、競って「パドル」(番号札)を挙げる…。

筆者に取って昨晩は、或る意味シュールで「何処と無く落ち着かない、複雑な気分」の夜だったのだが、それは「気のせい」で有ろうか…。