オークション終了!

昨日、筆者の担当する「日本・韓国美術オークション」が終了した。

その前に、実は昨日の朝、友人A氏から素晴しいメールが飛び込んで来たので、今日はその事から。

そのメールは、正直昨日の「セール」とは「全く」関係の無い内容だったのだが、筆者が年頭の目標に掲げた「今年中に『優ちゃん』に会う」と云う目標(笑)に、ハッキリと一歩近付いた事を感じさせる内容であったのだ!!嬉しい事にA氏のお蔭で、今では優ちゃんは「NY優ちゃん会」と「筆者」の存在を、ハッキリと知っている…「かいちやう」にこの件を報告をしたら、「おぉ、女神微笑むですね!」と云うお返事を頂いた(笑)。良い兆候で有る。

さてその「女神」も微笑み掛けた肝心のセールだが、表紙を含めた「高額屏風」は何一つ売れず、必死になってプロモートした「現代茶碗」も一点(12代休雪の「白萩」)しか売れず、大層残念ではあったが、しかし166点の出品作品中104点が売れ、総売り上げは、439万1375ドル(約4億円)。エスティメイトに対するパーセンテージは略70%で、日本や韓国の経済状況を考えれば、先ずは成功したと云える成績で有った!

売却作品中の最高価格は、中国明の染付の影響を多大に残した、「李朝染付菊牡丹蓮花文大壺」(18世紀)で66万2500ドル(約6000万円:エスティメイトは50万−70万ドル)、2位はご存知「韓国のゴッホ」と呼ばれる近代の夭折画家、パク・スグンに拠る1964年度作品「座る二人の女」で50万6500ドル(約4600万円:エスティメイトは35万ー40万ドル)、そして3位は河鍋暁斎の大作「地獄太夫」で、48万2500ドル(約4400万円:エスティメイトは25万ー30万ドル)、米国某超有名美術館に拠って買われて行った。

しかし何と云っても驚いたのは、明治の「七宝」である。「京都並河」作であるが、「香炉」の方はエスティメイトの1万5000−2万ドル(約136万ー182万円)に対して、売却価格は何と20万6500ドル(約1876万円)!もう一点の「小箱」も5000−6000ドル(約45万ー54万円)のエスティメイトに対して、8万500ドル(約732万円)…ちょっとビックリな、価格である。「並河」は最近異常な値上がりを見せており、ブロンズも非常に良く売れたので、これは「明治ブーム」の到来のサインかも知れない。

さて今回のセールでは、この七宝に代表される様に、日本韓国美術の各分野に於いて、1作品に人気が集中する傾向が顕著に見られた。

例えば、歌麿の名作春画「歌まくら」も、10万ー15万ドル(約910ー1365万円)の予想価格に対して、33万8500ドル(約3080万円)、李朝後期(19世紀)の「儒教神仙図屏風」も、6万ー8万ドル(約546ー728万円)の予想価格に対して43万4500ドル(約3954万円)と、恐るべきビッドの伸びを見せた。この事態は、良いモノはより高く、そうでないモノはそれなりにと云った、未だ「不景気」の名残に居る事は否めないと云う事だろう。

しかしこれで、昨年秋から3セール連続で、アメリカの有名美術館が「高額日本美術品」を当社で落札した事になる。昨年9月のオークションに出品された、唐物茶壷「千種」(唐物だが、実際は日本の「茶道具」としての価値)が、約6000万円でワシントンのフリアー・ギャラリーに、10月の「サムライ・セール」の紀州徳川家の甲冑が、約5500万円でミネアポリス美術館へ、そして今回の暁斎が某東海岸の有名美術館へ。

自分たちの研究の為、そしてアメリカの人々、また世界中から来る人々に「日本美術」を見せる為、高額で「日本美術品」を購入するアメリカの美術館…何と無く「有り難い」気持ちになるのは、何故であろうか…。

何はともあれ、筆者担当の3月セールは無事終了、そして岳父も今朝日本への帰路に就いた。これでやっと、何時もの生活に戻れる(笑)。


告知:3月25日発売の講談社の雑誌「セオリー」にて、筆者の新連載が始まりました。タイトルは「オークションの目玉」。隔月連載ですが、またド素人ですが頑張りたいと思いますので、応援何卒宜しくお願い致します!