「多国籍」な週末。

この週末は、久し振りに会う友人達と過した。

金曜日の夜、夕方の顧客との交渉後は、友人の写真家GとそのパートナーAのカップル宅での、ディナー・パーティーに参加。

出席者は我等夫妻の他、現代美術画廊を営むアメリカ人M氏とそのパートナーで彫刻家のM女史、パリのカルティエブレッソン財団からICP(「International Center of Photography」)に長期出張に来ているフランス人P女史と、そのパートナーでアメリカ人映像作家のM氏、そしてGとAのカップル+Aの娘さんのAlmaちゃん(10歳)+愛犬ダックスのルル。国籍・性別・生物種も入り混じったニューヨークらしい夕食会で、Aの作ったリゾットも大層美味しく、ワインも進み笑いも絶えず、夜中過ぎまでアート話に花が咲いた、素晴しい時間を過した。

そして昨日の土曜は、友人のペインター、オスカール(大岩)の「OPEN STUDIO」に招待を受けていたのだが、所用が出来てしまい、残念ながら行く事が叶わなかった…しかしアメリカでの、このアーティストに拠る「OPEN STUDIO」と云う習慣は素晴しい。

それは、アーティストの制作現場を観てみたいと思うコレクターとアーティストとの、色々な意味での貴重な「場」と為るからである。日本でも、この「OPEN STUDIO」をやっているアーティストも居るのだろうが、もっと活発にやれば良いのにと思う。

夜は夜で、これまた友人カップルのM&Aと、チェルシーの行き付けイタリアン「バスタ・パスタ」で食事。

インドネシアのお嬢様M女史は、我国の皇后陛下と同じ名前なのだが、実は「日本人の血」は全く入っていない。では何故その名前が付いたかと云うと、今上天皇皇后両陛下がご成婚された時に、丁度M女史の父親が日本に居り、当時の妃殿下の余りの美しさに感銘を受けたからだと云う…素晴しい話だ。云うまでも無いが、M女史本人も名前負けせず、非常に品が良く美しい。

一方旦那さんのAは、父親の不動産会社を経営しているイタリアとコロンビアのハーフで、最初はとっつきにくい感じも有ったのだが、筆者が「如何に『シシリー島』が素晴しかったか」を話した途端話が弾みだし、その後も映画「ゴッド・ファーザー」等で盛り上がる、盛り上がる!

聞けばAの父親はシシリー出身だそうで、彼は当然マフィアの話にも異常に詳しく(序でに「コロンビアン・マフィア」の事も…)、その時折見せる目付きの鋭さも有って、筆者の「大事にしたい友人リスト」上位入りとなった(笑)。

さて、4人でゲラゲラ笑いながら「オクラのパスタ」等をバクバク食べていたら、向こうの方から、微笑みながら手を振ってやって来る可愛い女性の姿が…良く見ると、友人の作曲家Aちゃんでは無いか!Aちゃんはアメリカのレーベルとも契約をしている若手アーティストで、「ジョン・ゾーン」と共演したり「レンゾ・ピアノ」とも仕事もしている、美しき才女である。「Aちゃん、来てたんだ!」と云うと、彼女が店の奥を指差している…そしてその指の先には、これまた親しき友人で建築界一のモテ男、コールハースの右腕建築家S氏が手を振っていた。

このS氏は世界を飛び回っていて、「忙しい、忙しい」と云いながらも、ちゃんと「息抜き」もされている様で、流石である(当ったり前か:笑)。因みに、この2人が仲良く食事をしている姿を見るのは、何と云うか「お節介な、親戚のオジサン・オバサン」化している「紹介者」の我等夫婦としては、微笑ましい限りである…しかし、嬉しい偶然であった!

いやはや何とも「多国籍」な週末であったが、これがニューヨークの「醍醐味」とも云える。

そして今の日本の「文化的鎖国状態」とその閉塞感、また最近アートや建築界の若年層に時折見られる、「井の中の蛙」的な過度の「日本礼賛」と「外国嫌い」…人種も年齢も関係無く、オープンなコミュニケーションを大事にする事に因って、新たなる創造を試みるニューヨークには「学ぶ所大」、と再び思う週末でもあった。