「呼ばれた」話。

昨日は朝から、母親と去年亡くなった叔母宅で、遺品の整理。

叔母は、お茶は裏千家お能観世流を60年以上に渡って嗜んでいたのと、金重陶陽・素山等の陶芸家とも親交が有ったりしたので、茶器や焼物、着物等色々と細かいモノを持っていたからなのだ。

使えそうなモノを分けて、叔母宅を後にしたのだが、家に作った、ささやかな「稽古舞台」を将来どうするか等、悩みは尽きない…1年と云う月日の経つ速さに対する驚きと、亡き叔母の居ない家の寂しさが、改めて湧いてきた。

その後、久々に母親と「サシ」で中華ランチ。母は72にしては元気な方だとは思うが、当然会う度に年を取って来ている。近況報告、ニューヨークでの茶会の事や最近の友人の事を話したり、お金の心配されたり、激励されたり…何の親孝行も出来ていないのに、本当に有難い事だ…しかし、相変わらず良く食べる母であった(笑)。

母と別れ、銀座のオフィスに向かう…メールの整理と、来週観る事に為っている、或るコレクションのイメージを観ておく為だ。

が、出光美術館で今開催中の展覧会、「茶ー喫茶の楽しみ」が最終日である事を急に思い出し、観に行く事に。千代田線の日比谷駅を降り、帝劇の角を曲がって館の入っているビル迄後数メートルと云う所で、突然地下鉄の出口から現れた、見覚えの有る人影が…。

それは、先程迄母との話題にも頻繁に出ていたS氏であった!声を掛けると、向こうもビックリ、余りの偶然に驚きを隠せない。前の晩、お互い「また夏に」と別れを告げたばかりの二人が、「14時間振り」の再会(笑)を祝すと、ではご一緒にと云う事になり、此方としては「無料レクチャー」を受けられる幸運となった…シメシメ(笑)。

展覧会は煎茶道具から、佐竹本三十六歌仙や、珍しい黒高麗の杯托、無準師範の墨跡「選佛場」や、物凄く立派な青磁下蕪と鳳凰耳の花生等、ガチムチ系の名品が揃う。時折気付いた人達から、挨拶を受けながらのS氏の解説に、周りの人も聞き耳を立てる。

勉強後はお茶でも、と云う事になり、近くの「SADAHARU AOKI」でケーキ・セットを頂く。云う迄も無いが、天気の良い日曜の午後@丸の内、店内に「男同士」の客は、我々のみであった(笑)。

さて実は、この後S氏が訪れる予定だった或る史跡と、それに深く係わる歴史上の人物に我々が「呼ばれた」話は、当にこれからなのである。が、下書きも書いた後、また一日中色々と考えた末、この件をダイアリーに記すのは止める事にした。

それは、このダイアリーを始めて約1年、書く事をこんなに躊躇い悩んだのは、初めてだった事と、それ程不思議な、或る意味恐い程の符合、言霊、二つの土地、それらの異常にパワフルな霊力に係わる、バズルの一片が収まるかの様で有ったからだ。

世の中森羅万象は「必然」で、「偶然」は有り得ない事を思うと、その「呼ばれた」理由は勿論今は不明だが、何時の日か明らかになるだろう。

そして、誠に申し訳無いが、それ迄この話しは封印させて頂こうと思う。