「おはんさん」が、泣いている。

昨日は朝から、又々顧客廻り。

最初の顧客の所では、江戸期の日本陶磁をゲット!某美術館旧蔵品を含む4点で、総額15万ドル程。最近日本の陶磁器マーケットは弱含みだが、良いラインナップになりそうだ。

東京支社の同僚と軽く打合せの後、友人の某IT企業社長氏と、西麻布の寿司割烹でランチ。

この人とは不思議な縁で、最初祖父の親友で、政治思想家のY先生の秘書から紹介されたのだが、先生の晩年に薫陶を受けたと云うこの人とは、年も近く、彼の考え方や政治活動にも共感を覚えて親しくなった、謂わば「憂国の同士」なのである。

激変する政局、今の日本人の生温さ、どう云う人が我国のリーダーに相応しいか等について、個室で激論…時折料理を運んで来る白衣のお兄さんも、我々の熱過ぎる会話に、かなりビビっていた(笑)。

ランチ後は、また顧客の元へ。此処ではモノは観れなかったが、近い内に「大名品」を見せて頂ける事に。お茶に関わる「モノ」なのだが、先ずは実見してからと云う事…楽しみである。

ビジネスの後は、顧客ご夫妻とディナー…高級中華料理をご馳走になる。夫人も、前回のセールの売上金でプレゼントされた指輪をして、ご機嫌の様子。出品して頂いたモノが良く売れると、此方も我が事の様に嬉しい。

前菜、フカヒレ、エビチリ、トウミョウ、トーロンポー、チャーハン、そしてタピオカ等を、「爆笑同世代ネタ」と共に、食べ尽くした。

店を出て、ふと道の反対側に眼を遣ると、以前「はん居」が有った場所に、何やら新しい店が。「はん居」は、地唄舞人間国宝で、一時期青山二郎の妻であった(因みにY先生は、彼女の「後援会長」で有った)、武原はんの自宅を料亭にした店であった…が、新しい看板が出ていて、どうもレストランになったらしい。

行って見よう、と云う事に為り、この「L」と云う名の店の、2階のバーに座る。洋館を改装した、面白い作りの部屋で一杯飲んでいると、天井から人が歩いて居る様な、奇怪な音が…。

余りに気になるので、ウェイターに「3階も有るの?」と聞くと、驚くべき答えが返ってきた。

「はぁ、何と云うか、衛生上問題の有るモノが居りまして…。」

な、何だと!ハクビシンでも居ると云うのか(笑)…と云うか、重大な衛生法違反ではないか…訴えてやる!と、余りにも非常識な返答に皆激怒しつつ、しかし一杯は飲み干して解散。

しかし今時、ネズミが屋根裏を走り回る家、いや店舗が有るとは…「昭和」は外観だけにして欲しい。

70を過ぎての舞台しか観ていないが、その年でも超色っぽかった「おはんさん」も、嘗ての自分の家がこんなでは、きっと草葉の陰で泣いているに違いない。

即刻廃除せよ!