光陰矢の如し。

何と、シラク前仏大統領が有罪に為ったらしい。

シラク氏は知る人ぞ知る親日家で、一説に拠ると愛人も日本人だったそうで、日本や中国古陶磁の収集家としても知られているが、そのシラクさんの「骨董エピソード」が有るので、紹介しよう。

それは東京の或る老舗骨董店での、或る日の午後の事…丁稚さんが店番をして居る所へ、カジュアルなジーンズ姿の、体の大きい1人の外人が、店に入って来た。

するとその外人は、棚に陳列している焼物を、店の者の許可無しに触ろうとするでは無いか…!それを見て驚いた丁稚さんは、慌てて止めようとしたが、英語も話せず唯々狼狽えるばかり。

が、丁度そこへ番頭が帰って来たので、丁稚さんが「番頭さん、変なジーパンの外人が、勝手にモノ触ってるんですけど…」と云うと、「フーン、そりゃ困った奴だな…俺が注意してやろう。」と云う事に為り、外人の方へと向かって行った。

番頭が外人に「エクスキューズ・ミー?」と話し掛け、その外人がゆっくり振り向くと、番頭は顔色を変え「こ、これはプレジデント・シラク、大変失礼致しました!」と平身低頭…良く見れば、店のドアの外には、SPが2人佇んでいるでは無いか!

番頭は丁稚に、「お前、シラク大統領閣下の顔も知らんのか!」と怒鳴ったが、シラク氏は「マアマア、イージャナイデスカ…」と云った感じだったと云う(笑)。

閑話休題。さてさて木曜日は、朝早くから最後の関西出張。

非常に良い作品を観るが、残念ながら値段が折り合わず、その場での出品決定は無く、顧客は一考すると云う…「骨折り損」に思われるかも知らないが、今回出品されずとも次回、の可能性も有るし、何しろ行って観なければ作品は解らないので、行った価値は必ず有るのである。

東京での夕方4時のアポに何とか間に合い、屏風や焼物の査定した後は、親しい某有力ディーラーT氏、最近パパと為ったK君と忘年食事会。

行ったのは西麻布の「和風ジビエ」店「M」で、炭が用意されると、熊の網焼から始まって、クレソン・サラダ、鹿ロース・ステーキ、茸2種網焼、猪と熊のニンニク味噌鍋迄、脂身の少ないビタミン・ミネラル一杯の、最高に美味な肉を頂いた。

前から興味が有ったので、自身が猟をする店主に「ツキノワグマ」」と「ヒグマ」のどちらが美味いかと聞くと、「個体に拠るので、どちらとも云え無い」との事…世の中、知らぬ事ばかりである。

さて、この「M」での3人には共通の思い出が有って、丁度一年前の今頃、同じメンバー、同じ場所(「M」)で食事をした時、K君から「結婚します」報告が有り、皆で乾杯をしたのだが、それから一年後の一昨夜、K君から今度は「長男誕生」の報告を受ける事になり、一年振りの乾杯。

こうなると、一年と云う月日は何と速く、何と人の人生を一変させる力が有るのだろうと思う…って、K君、結婚式と子供の日取りの計算合わないじゃん(冗談です:笑)!

その後はと云うと、西麻布の「死ぬ程日本語の上手いガーナ人の店」や「変わった会員制の店」に繰り出し、「変わった会員制の店」では、その直前に茶事を終えたばかりの某有名茶道具商Y氏も合流、愉しき夜を過ごした。

「光陰矢の如し」…1年が年々短く感じるのは、何も年令だけの所為では無い。
それは、友人や家族、「ご縁」の、有難い「スピード」が月日を加速させるのだ。

縁に恵まれた今回の日本滞在も、後2日で有る。