週末は、「アダージョ」の余韻を楽しむ。

金曜日、マーラーを堪能した後の夕食は、A姫、建築家Sと作曲家Aのカップル、そして「ゲルギエフ第二夫人」妻(この名前は長過ぎるので、「ゲル妻」と呼ぶ事にする:笑)の総勢5人で、アッパー・イーストサイドのこじんまりとした和食店、「DONGURI」にて。

この店にはJさんと云う、仲が良く、そして「腕」が最高に良い上に超イケメンのシェフが居るので、味もサービスも素晴しい。この日は名物の胡麻豆腐、新鮮な刺身盛、絶品の「スイート・コーンのかき揚」や「和風シーフード・イカスミ・リゾット」、「ウニぶっ掛け蕎麦」や「和風フィレ・ミニヨン」等をワインで堪能した(勿論筆者は「伊藤園の烏龍茶」)。

食事中には、隣にちょっと洒落た中年男と若い女の子のカップルが座っていたので、皆「何処かで見た顔だなぁ?」と、ひそひそ話。多分どっかのシェフだと思う、との意見も出されたが、結局彼らが帰るまで判らず仕舞いでだったので、帰り際にJさんに聞いたら、「あぁ、あれジャン・ジョルジュですよ」と一言…ジャン・ジョルジュだったのか!「この間『Mark』行きましたよ」位云えば良かった…しかし流石「DONGURI」、有名シェフにもご用達の店なのであった。

11時も過ぎた帰りには、ゲル妻の「膝」のお見舞いがてらと云う事で、メニューには載っていないJさん特製の、死ぬ程旨い従食用の「究極のカレー」をお土産にゲット!この日一緒に来た連中は、マジ大ラッキーである(笑)。その後はと云うと、全員で「地獄宮殿」に立ち寄り、飲み直し。酒もかなり入り、Sが「トム・クルーズは良い役者だ!」等と言い張るので皆で糾弾していると、仕事帰りのP王子がワインを持って参入…これで役者は揃った(笑)。「ニューシネマ・パラダイス」女優の姉を持つP王子の意見も有り、結局トム・クルーズは「ヘボ役者」と云う事で落ち着いたのだった(笑)。

ディナーから数えると、都合4本のワインが空き、飲み会も夜中の2時半過ぎにやっと終了。ゲル妻は、月曜日の膝の手術の前祝等と訳の判らん事を云っていたが、多くの友人達からお見舞いの手作りケーキ(黒川さん、有難う御座います!)やメール、花などを頂戴している…本当に有り難い。ゲル妻、キミは本当に幸せ者である!

そして土曜の朝は、当然ゆっくり起きると、マーラーの5番「アダージョ」を掛けながら、自宅で久々のパンケーキ・ブランチ。「カラヤン&ベルリン・フィル」と「アバド&シカゴ・フィル」の「アダージョ」を聞き比べながらの、大きな窓から入る素晴しく暖かい陽射し、アツアツのコーヒーとフワフワのパンケーキ…あぁ、今朝も僕の心臓が動いた侭起きる事が出来た!と、神に感謝したい様な朝であった(笑)。

前夜の疲れも有り、土曜の残りは何もせず、がしかし、夕食には前夜お土産で頂いたJさんの特製「カレー」を、確りと食す。ウンマイ!!しかし、何故こんなに旨いのだろう…辛さも丁度良いし、牛肉も柔らかく、ご飯との相性も最高である。あぁ、もっと食いたかった(溜息)…Jさん、また宜しくお願いします!

そして今日日曜は、午後からコロンバス・サークルに在る「MAD」(Museum of Arts and Design)に、「Dead or Alive」展を観に…別に「You Spin Me Around」とは関係無いので、悪しからず(笑)。

この展覧会は、世界各国から集まった30名以上のアーティストの作品を展示しているが、その作品は「オーガニック」な素材、つまり昆虫や植物、鳥の羽等を使用して制作された、彫刻やインスタレーションである。大御所ではダミアン・ハーストヤン・ファーブル(流石「昆虫記」の孫!)、中国からはシュー・ビン等も参加しているが、個人的に最も素晴しかったのは、Tim Hawkinsと云う作家の「Point:Eggshell」と云う作品であった。

この作品のマテリアルは「ミックスド・メディア」と有るが、採掘された鏃や化石等と現代の化合物とを用いているらしく、非常に美しい抽象彫刻と為っている。またこのHawkinsと云う作家は、Pace Galleryのアーティストらしいので、今度Tさんに詳しく聞いてみようかと思う。その他は…と云うと、コンセプトやクオリティが正直「イマイチ」だったので、早々に退散。明日のゲル妻の手術に備える事にした。

さぁ、明日は妻孝行である!