懐かしの「バブル・ディスコ・サウンド」に聴く、「日本の未来」の底力。

滔々ニューヨークも、やってられない位に蒸し暑く為って来た…そして日本は敗れた。

昼休み、午前中から気に為って仕方が無かったパラグアイ戦が、丁度延長に入った所だったので、急いでオフィスの裏に在るアイリッシュ・パブに駆け込んだ。店内カウンターには、若い日本人男性が4人陣取り、後で聞けばドイツ人だった女性と日本を応援していたが、後は当然外人ばかり、パラグアイ応援団も居た程だ。

アイルランド人店長からも声援を受け、息を呑む展開の試合はPK戦へ…しかしこの時点で不吉且つ不謹慎だが、日本ヤバイなぁと思っていたら、案の定或る選手が外してしまい、日本は敗戦…悔しくて悔しくて、涙が出そうであった。

今回の日本は、予選から非常に良く戦ったと思うが、敢えて厳しい事を云えば、あの「絶対に外せない」PKの局面で、どんなに緊張して居たとしても、「枠に行かない」ミスキックをしてしまう事に、正直今の日本の限界を感じてしまったのも事実で有る。

「心の弱さ」「場慣れしていない」等の意見も有るだろうが、「技術」と云う点から考えれば、「枠に入れる練習」が不足とも云えるのかも知れない。それは何故なら、パラグアイの選手のPKにも、そして日本で云えば本田選手のそれにも、「余裕」と云うか「当然」とも云える「世界レベルの技術」を感じたからである。「技術」が「心の弱さ」を超える時は多々有るし、舞台が外国であったり世界で有ったりする時に、その「技術」はより力を発揮するからである…勿論幾ら練習しても外してしまう時は外してしまうのだが、「世界」での勝負の分かれ目は、意外とその辺に有るのかも知れない…マダマダ、前に進めるぞ!ガンバレ、ニッポン!

さて、そろそろ涙を拭いて、今日のダイアリー。「MJ一周忌」と云う事も有るのだが、この間日本に行った時にゲットしてきた、一枚のCDの事を記そうと思う。

そのアルバムとは、タイトルに「MUSIC BAR@Marunouchi TOKYO」と有り、「AVEX」からレリースされた所謂「ノンストップ・ダンス・オムニバスアルバム」で有る。そしてこのCDで「回して」居るDJは、実は筆者の長い友人で、最近某大手不動産会社の「S部長」に出世したM君。彼は超お堅い会社に勤めながらDJもし、母校のフットボール部の監督も務めて、全国大会でも優勝した程のスポーツマンで、最近一寸幸せ太りしてきたが、何の何の、未だ超イケメンだ。

さてこのアルバム・タイトルの「MUSIC BAR」とは、「丸ビル」が新しくなった時に、丸の内界隈の企業を巻き込んで、「丸ビル一階に在る『カフェ・イーズ』を、『クラブ』にしちゃおう」と、このM君達が企画した「一夜限り」のクラブの事で有る。

この「Music Bar」には、筆者も何度か足を運んだが、その「バブルの残り香」的、恐るべしパワー全開の狂乱の宴であった。そして、ハービー・ハンコックとも共演した事も有るM君は、知る人ぞ知る「ディスコ・オールディーズ」のマスター・DJで、その知識とテクニックは「キサナドゥ」のDJ・ATOMや、「TOOL'S BAR」で回していた、知る人ぞ知るDJ・SAKUMAに、勝るとも劣らない(褒め過ぎか:笑)。

では此処で、知らない方の為に「ディスコ・オールディーズ」とは何かを簡単に説明しておこう。

端的に云えば、読んで字の如く「ディスコ」ジャンルでの「オールディーズ」なのだが、要は70年代中盤から80年代中盤に掛けてディスコで流行った、ソウル(例えばMJの「Don't Stop 'Til You Get Enough」)、ファンク(例えばLakesideの「Fantastic Voyage」)、ロック(例えばClashの「Rock the Casbah」)、和製ディスコ(例えばFunky Bureauの「Clap Your Hands Together」)、テクノ(例えばHuman Leagueの「Don't You Want Me」)、ジャズ・ファンク(例えばTom Browneの「Funkin' for Jamaica」)等の名曲を指す。

そして、このアルバムに入っているメジャーな曲を挙げれば、ロックなのにディスコで大ヒットしたDoobie Brothersの「Long Train Runnin'」や、ファンクの帝王Rick Jamesの「Super Freak」と「Give it to Me Baby」、今でもやってるE.W.&F.の「Let's Groove」、Sugarhill Gangと並ぶラップの走り、Kurtis Blowの「The Breaks(邦題:「おしゃべりカーティス」)、フロアを占領して皆同じダンスを踊る曲の筆頭株、Changeの「Paradise」等々。

全体の曲目をみると、収録曲が一寸メジャー過ぎるのと、ある種の偏りが有る様に思ったので、M君と会った時に聞いてみたら、こんなマイナーな嘗てのディスコ・ヒットを使っての「オムニバス・アルバム」を作る時ですら、ややこしい「版権」の問題が生じて大変だったとの事(MJ等は当然そうだと思うが、他もそうなのか?)…推して知るべしである。

そしてもう一点、このアルバムには筆者がディスコで過した、80年代初頭ー中盤に掛けての「東京ディスコ事情」が色濃く反映されている。それは何かと云うと、80年代初頭までの「サーファー」ブームによる、メロウAOR系やファンキー系に代わり、中盤からは所謂「マハラジャ」ブームが起こり、そこで「ユーロ・ビート」の全盛時代となった。

そしてその「ユーロ」の中でも、当時ディスコで頻繁に掛かった「リメイク」と云うジャンルが有り、このアルバムにも収録されているCarol Hitchcockの「Get Ready」(原曲はTemptations)や、N-Tranceの「Stayin' Alive」(原曲はBee Gees)等も含めて、「オールディーズ」と「ユーロ」の複合リミックスと為っている事で有る…この複合こそが「バブル・ディスコ」なのだ(笑)!

その他の収録曲を見ても、大ヒットしたPete Shellyの「Telephone Operator」や、ホワイト・ソウルの王者Avarage White Bandの「Let's Go 'Round Again」、70年代の大ヒット、ナイル・ロジャース率いるChicの「Le Freak」、白人ハード・コア・ラップ、Beastie Boysの「Fight for Your Right」等、バラエティに富む。

こんなアルバムを作ったM君だが、「S部長」に昇格した事で、「もう、こう云ったイヴェントを開催するのは、難しくなると思います」と話していたが、何を云う!君の様な立場の人間がやる事に「意義」が在るので、そこいらのイヴェント屋がやったって、それは只の「パーティー」でしかない。お堅い日本企業にM君みたいな人が「部長」として居る事と、その「部長」が(「影」でも良いから)この様なイヴェントをやる事に、日本の明るい未来を垣間見るのです。

「バブル」は悪い事ばかりでは無く、それ所か、その頃の日本は今とは比べ物に為らない位に「パワーと情熱に満ち溢れ」ていたと云う事を、是非証明して貰いたい。これは「バブルの同志」の願いでも在り、最近偶に思うのだけれど、これだけ弱りきった経済状態の日本を考えると、この「バブル」と云う時代は、ちょっと蘇らせてもいいかな?と思う様な、「良き時代」だったかも知れないのだから。