クリスティーズ、再びの勝利:「現代美術イヴニング・セール」速報@ロンドン。

各オークション・ハウスの、ロンドン現代美術イヴニング・セールが終了した。

通常「イヴニング・セール」は、サザビーズとクリスティーズの両巨頭が連夜開催するのだが、今回は珍しくサザビーズが月曜、フィリップスが火曜で、クリスティーズが今日水曜であった。

先ず先行したサザビーズ。53点のオファーで9点のみ売れず、総額4109万1800英ポンド(約54億3200万円)を売り上げた。100万ポンド以上で売れた作品は9点、トップ・ロットは最近人気急上昇のイヴ・クライン「RE 49」で、450万ポンドからのエスティメイトに対し、620万ポンド強(約8億2000万円)であった。

高額次点はフォンタナの「CONCETTO SPAZIALE, LA FINE DI DIO(空間概念:神の終焉)」で、474万5250ポンド(約6億2700万円)、3位がリヒターの「NEGER(NEBA)」で373万ポンド強(約5億円)であった…如何にも「ロンドン・セール向き」のアーティスト作品で占められたセールであった。しかし、180-250万ポンドのエスティメイトの付いたリヒター「ABSTRAKTES BILD」と、140万ポンド付いていたドイグの「WHITE CREEP」が共に不落札だったのを見ると、オークショニアの苦戦が偲ばれる。

昨日のフィリップスは、45点のオファーで24点しか売れず、トップ・ロットはTHOMAS SCHüTTEのセラミック作品「Doppelkopf (Double Head)」で、40万ー60万ポンドのエスティメイトに対し48万1250ポンド(約6350万円)で売却、売上げ総額も396万3450ポンド(約5億2300万円)に止まった…苦しいセールで有った様だ。

そして、クリスティーズである。たった今入ってきた結果に拠ると、62点のオファー中52点売れ、総額4564万200英ポンド(約60億3260万円)を売り上げた。100万ポンド以上で売れた作品はサザビーズの倍近い16作品、トップ・ロットはウォーホルの1963年作品「Silver Liz」で676万1250ポンド(約8億9250万円)、2位がクーンズの「Loopy」で340万ポンド強(約4億4800万円)、そしてアーティスト・レコードもスカリーやボエッティ、オフィリ等の、6作家の作品に出た。しかし此処でも、エスティメイト下値に100万ポンド以上付いた作品が、計4点不落札と為っており、サザビーズ同様アップダウンの激しいセールで有った事が窺える。

やはり、ピッキーなマーケットに為りつつ有るのだろうか?