絶対的な透明感:「百万円と苦虫女」@JAPAN SOCIETY.

此処ニューヨークの気温もやっと落ち着いて来たが、昨晩から今朝に掛けて、実はそれよりも「熱い」事が有った。それは、当社の裏の48丁目の通りで、昨日の晩から長蛇の列を成して「路上泊り込み」をしていた、若い女の子を中心とするファン達…そう、彼らは或る女性シンガーのファン達であった。

そして今朝、隣のNBCでは恒例の金曜の朝のコンサートが有ったのだが、今日のパフォーマーは今を時めく「LADY GAGA」。昨日の夕方6時過ぎには、既に多くのファンが路上に座り込んで待ち始め、そして今朝、彼女のコンサートは時折降る激しい雨にもめげず、物凄い数の観衆の中で終了した…しかし筆者には、このLADY GAGAはどうしてもマドンナの「二番煎じ」にしか見えず、アート嗜好もユルイ。妻に言わせると「女子高ノリ」だそうだ…これもお互い、年を取ったせいかも知れないが(笑)。

(注)本日のダイアリー、ここから先は「R指定」です。念の為云っておくと、「R」とは「Restricted」の略で、「反優ちゃん」(蒼井優が好きでない、若しくは嫌いである、見ているとムカつく等)の方には、相応しく無い内容と為っております。そう云った方が読むと、不愉快に為ったり、血圧が異常に上がったり、隣の旦那さんを刺したくなったりするかも知れませんので、くれぐれもご注意下さい(笑)。

[此処から『R指定』箇所です(笑)]
さて昨晩は、ジャパン・ソサエティの日本映画特集「JAPAN CUTS:Festival of Contemporary Japanese Cinema」の中の1本、我等が優ちゃんの「百万円と苦虫女」を観に行った。実は筆者は、この作品は既にDVDで観ているのだが、劇場で観た事が無かった事と、大好きな優ちゃんを「大画面」でと云う目的であったのだが、連れは当然「反優ちゃん会会長」では無く、最近めっきり映画友達となったアーティストのI氏であった。

軽く夕食を済ませ会場に行って見ると、優ちゃんの映画だと云うのに半分程しか埋まっていない。この作品の監督タナダユキは、昨年本作に於いて日本映画監督協会新人賞を獲得し、この日の為にNYに来る予定であったのだが、残念ながら体調不良によりキャンセルとなったらしく、その影響も有ったのかも知れない。上映前にJSの担当者サミュエルに「何故、優ちゃんを呼ばないのだ!」と詰め寄ったが、一言「She's so busy !」の返事であった…ガンバレ、サミュエル!次回こそ、優ちゃんをニューヨークに連れて来てくれ!(笑)

映画の内容は、優ちゃん扮する「鈴子」と云う短大出の女の子が、或る事から前科者に為ってしまい、家に居辛くなって放浪の旅に出る。100万貯まる毎に海、山、街と場所を変えながら人々と出会うが、上手くコミュニケーション出来ない鈴子は、苦虫をかみ締め続ける。家族(特に幼い弟)、人と接するのが苦手な自分や、親切にしてくれる他者を見つけ「ない」様にと旅をしながら、鈴子は「ずっと手紙を書き続けたが、一回も出す事が出来なかった弟」、「バイト先で知り合い、恋に落ちた大学生」に因って、最後にほんの少し「自分」を出す事が出来る様になる、と云った具合である。

何しろこの映画中の優ちゃんは、「ジミ」である。しかし、その美しさと透明感は絶対的である。そして、今我々が「アオイユウ」と聞いて直ぐに思い浮かべるであろう、例えば、出さなかった弟への手紙文の独白シーンに有る、「お姉ちゃんは、海は余り向いていない様です。」と云う箇所では「森ガール」、バイト先の海の家のあんちゃんに「あんた、かき氷作りの天才だよ」と云われるシーンでは、現在彼女が「CASA BRUTUS」で連載中の「春夏秋冬、かき氷」を、しっかりと追認させる楽しい作りとなっているのだ。

しかし、この「アオイユウ」と云う女優の透明感は、一体何なのだろう。「和」「アート好き」「歌舞伎通」「かき氷」「森ガール」「映画女優」等、彼女を形容する言葉は幾らでも有るだろうが、どれも彼女を完璧には顕して居ない様に思える。ドラマ「おせん」で見せたイナセな陽気さ、そしてこの映画での影、「情熱大陸」で見せた勝気と根性、余りにも多面的な「形容」の多さこそが、実際「女優」の証なのでは無いだろうか。

しかしまあ、ハッキリ云ってそんな事はどうでも良い(笑)。カワイイのだから、それで良いでは無いか!そして其処に、将来の大女優としての萌芽が見れれば、イチファンである筆者としては、今はそれで充分なのである。

アオイユウ、万歳!(BY 「NY優ちゃん会」NO.2)