「謎の女」に恋して。

今回香港から日本に戻って来て本屋を覗いたら、「PEN」と云う雑誌の表紙が眼に飛び込んで来た。

その表紙には「完全保存版 ルパン三世全解明。」のタイトル、そしてルパンと我らが不二子ちゃんが…これは買わずには居られない!

さて、筆者は大のアニメ嫌いで有る。しかし何事にも例外が有って、筆者が唯一好きなアニメがこの「ルパン三世」の「TV第1シリーズ」。

そして、以前此処でも述べたが(拙ダイアリー:「雨の午後はヤバイゼ」参照)、今一度強く云って置きたいのが、筆者が愛する「ルパン三世」とは「TV第2シリーズ」でも「カリオストロ」等の劇場映画でも無く、「TV第1シリーズ」のみだと云う事だ。

それは、この素晴らしき「哀愁」と「ユーモア」に富んだ「ルパン三世」は、第2シリーズ以降絵が極めてユルく為り、内容も子供染み始め、まるで別作品の様に為ってしまうからで、それ以降のファンには申し訳無いが、「どんなアートも『初期』が良い」との真理は適用される。

その筆者溺愛の「TV第1シリーズ」の内容に関しては、拙ダイアリー「雨の午後はヤバイゼ」の回を参照して頂くとして、さて何しろこの「PEN」の内容はかなり素晴らしい。

ルパン三世の初登場が1967年だった事、次元大介のモデルが「荒野の七人」のジェームズ・コバーンだった事、憧れの「謎の女」峰不二子の名は、原作者モンキー・パンチ氏の目の前に有った、富士山カレンダーの「霊峰富士」と云うタイトルから、「霊」を取って「子」を付けたら良い字面に為った事、主題歌を歌うチャーリー・コーセイアメリカ人と中国人のハーフだと云う事、若い時の山田康雄がルパンそっくりだった事、「TV第1シリーズ」が当時のテレビ・アニメとして、余りに「大人向け」だった為視聴率が伸び悩み、「もう少し子供向け」の路線変更を余儀無くされ起用されたのが後の「スタジオ・ジブリ」の設立者、高畑勲宮崎駿で有った事…等、ファンとしては恥ずかしながら、驚きと感動の連続なので有る!

その上、名セリフ集や各キャラの持つ拳銃(ワルサーP38:ルパン、スミス・アンドウェッソンM19:次元、ブローニングM1910:不二子等)や車(メルセデス・ベンツSSK、フィアット500等)等の小物の解説も有って、もう堪らない。

また、この「PEN」を読みながら聴くのに相応しいのが、「ルパン三世〈テレビ・オリジナル・BGM・コレクション」と云うアルバム。

このアルバムは「第1シリーズ」に使用された、作曲家山下毅雄の名曲達が収められており、「ルパン・ザ・サード」とチャーリーが歌うオープニング・テーマから、スキャット・テーマ、アフロやサンバ、ロック等の、ルパンや仲間達が例えば走るシーンやノンビリとタバコを燻らすシーン、哀愁を帯びたシーン等に使われた、「オオッ、聴いた事が有る!」的、小躍りしたく為る懐かしいナンバーの連続なので有る。

そして当然チャーリーの主題歌(エンディング・テーマ)もバージョンが3種類入っていて、口ずさんだりすると、歌と共にバックに流れていた、「謎の女」不二子がレザーのツナギを着て、ジャンプしながら、ひたすら荒野をバイクで走るシーンが、自然と眼に浮かんで来る。

ルパン三世 TV第1シリーズ」…ストーリーも然る事ながら、ルパンを始め次元や五ェ門、銭形や敵役達のキャラ設定が極めて素晴らしいのは云う迄も無いが、筆者に取ってはその中でも、やはり不二子ちゃんは別格で有ると強く此処に云って置きたい(笑)。

「第1シリーズ」冒頭のタイトル・ロールで、ルパンに拠って「謎の女」と紹介される峰不二子

ルパンに、「裏切りは女のアクセサリーの様なモノさ。いちいち気にしてちゃ、女を愛せる訳が無いぜ。そうだろ?」と云わせた程、「裏切る」女、峰不二子
五ェ門の彼女として(「あの」五ェ門が、何と「不二子『ちゃん』」と「ちゃん」付けで呼ぶのだ!)初登場した、頭が良くて、信じられない位にスタイルが良く、セクシーで甘え上手、躍りも運転も上手くて、和服も着こなしファッショナブル、そして腕も立つ…「元カレ」のプーンの事が、マジに羨ましく為る程のイイ女、峰不二子

現実にこんな女に恋をしたら、身の破滅…しかし何度裏切られても追い掛けて仕舞う、ルパンの気持ちも良〜く分かる…(笑)。

今、27年振りにこの「ファム・ファタル」を主役に据えたテレビ・シリーズ、「LUPIN the THIRD〜峰不二子と云う女」が放送されていると云う。

筆者は未だ見て居ないが、不二子ファン、第1シリーズ・ファンとしては、観たい様な観たく無い様な…では無いだろうか。