「寝耳に水」と、絶好調の「上半期」。

今朝起きたら、夜更かしの妻からメールが入っていて、そのタイトルは「ヒー、ヒッヒッヒー!」であった。

意味が判らずメールを開いてみると、そこには「リンク」だけが記されており、何事かとクリックしてみると、何とそこには「蒼井優大森南朋と熱愛!」の文字が!!

皆さんにはどうでも良い話だろうが、コチラとしては驚愕と怒りを抑えて、記事を読む。筆者は機内で観た「ハゲタカ」でしかこの男優を知らないし、しかし記事に因ると優ちゃんが以前付き合っていた岡田准一よりは年上らしいので(38歳)、年齢的には優ちゃんには合っていると思う…良い女優は、一回り若しくはそれ以上年上の男と付き合わねばならない(勝手な私論ですが)。またこの役者は、今「龍馬伝」で優ちゃんと共演中らしく、そして彼は何と「麿赤兒」の息子だそうで、その「舞台人的役者魂」と「酔っ払いオヤジ」(麿氏を知る妻曰く)を引き継いでいるとすれば、諸手を上げてと云う訳では無いが(笑)、優ちゃんの彼氏としては岡田よりはマシかも知れない。なので、これを機会にこれから優ちゃんが「オトナ」の恋愛を経験し、もっと「年上好き」に為る事を期待するばかりである(何の為に…?:笑)。

しかしそれに付けても、ウチの妻の「ヒー、ヒッヒッヒー!」とは何なのだろうか…夫がこの暑さの中、日々の労働で疲れ果てて寝ているその夜中に、この記事を見つけて「ほくそえんで」メールを打っている姿は、何と云うか想像するだに恐ろしい…女性の嫉妬とその表現方法は、複雑怪奇である。この「深夜のメール打ち」のシーンは、新作能「蒼井上」の「前シテ」に用いるべきだ(笑)。

全く朝から「寝耳に水」でショックを受けたにも拘らず、妻の手前、冷静を装い出社。今日も本当に湿度が高く、25分のオフィス迄の道程で、もう汗だくである。

さて、カタログが終わった今はホッと一息だが、来週から日本に長く戻るので、それ迄にやらねばならない事も多い。そして昨日、当社の上半期の業績報告書が手元に届いた。結果から云えば、クリスティーズは今年の1-6月期、全世界で17億1千万英ポンド(25億7千万ドル、約2373億5000万円)を売上げ、昨年同時期の売上げが12億英ポンドからすると、英ポンドベースで46%売上げがアップした事に為る。そして「マーケット・シェア」は51%で、「ワールド・リーディング・アート・カンパニー」の座を守ったらしい。

またクリスティーズは、世界で売られた「全ての5000万ドル以上の作品」の75%を売っており、春に世界記録を打ち立てたピカソの「ヌード、観葉植物と胸像」に代表される様に、高額商品の売却に関して非常に強い事実を証明した。地域別で云えば、ヨーロッパが6億5030万英ポンド(約902億円)の売上げで、これは前年比1%アップ。アメリカが「ピカソ」の効果も有りかなり好調で、6億6640万英ポンド(約925億円)で前年比116%のアップ。アジアも2億1570万英ポンド(約299億4千万円)で、前年比135%のアップ…各地域でもマーケット・シェアを確保した。

部門別で売上げの伸びが大きいのは、恐らく「クライトン・コレクション」の影響が大きいと思われる現代美術で140%アップ、続いてアジア美術で121%のアップ…これは単に「中国」である。香港の売上げを見てみると、2億50万英ポンド(約278億3000万円)で前年比132%アップ、未だ勢い衰えずである。

この半年、クリスティーズの全ての分野で最も高く売れた「トップ10」を見ると、ピカソ(1、4、10位)とジャコメッティが各3点(2、7、8位)で、モディリアーニ(3位)、ジャスパー(5位)、クリムト(6位)、ウォーホル(9位)が各1点すつ。これを見ると、やはり「近代」と「現代」を繋ぐアーティストとその作品の、美術史的価値のみならずマーケットでの重要性も、確りと証明している様に思う。

もう一点最後に付け加えたいのが、「Christie's Live」(「インターネット」でのオークション参加)で、前年同期に比べて、レジストレーションした人(オンラインでビッドするには、前もって登録が必要である)が33%増え、実際にビッドした人は44%も増加している。この数字は、クリスティーズで「オークション参加登録」をした全ての顧客の「20%」の割合を占め、実際ビッドした全顧客の「25%」に相当する。そしてこの「オンライン・ビッド」は、上半期で4880万ドル(約42億円)を売り上げており、前年比63%アップを記録した…この「オンライン・ビッド」を会社がやり始めた頃は、「高額商品を『オンライン』で買う人が、どれだけ居るのだろうか?」と云った疑問や危惧、議論が有った事を昨日の事の様に覚えているが、今となっては「時の流れ」を感じる数字である。

何しろ云えるのは、当社の今年の上半期の業績は、「今の所」去年とは大違いであると云う事だ。株や為替が不安定な今、才能や技術が確実な信頼できるアーティスト作品にお金が動いている。

そして悲しいのは、優ちゃんに彼氏が出来た(らしい)事も有るが、ワールド・アート・マップに日本の「影すら」見えない事である。