プリンセスのバースデー。

先ずは告知から。明日9月10日(金)より14日(火)まで、ロックフェラー・センター(49丁目・5-6番街)のクリスティーズ社屋に於いて、「日本・韓国美術オークション・プレビュー」が開催されます(日曜以外は10:00-17:00、日曜だけ13:00-17:00)。この期間、15日のオークションに掛かる全作品が展示される事に加え、中国美術・東南アジア美術セールの全作品も展示されます。期間中は入場無料・出入り自由ですので、皆様お誘い合わせの上、美術館クラス、いや時にはそれ以上のクオリティの美術品を、是非ともご鑑賞下さい…勿論ビッドも受け付けております(笑)。

さて、今日のダイアリー。

今朝と云う朝は、何と爽やかな朝だったのだろう!この季節のニューヨークは、春先と共に非常に短い期間では有るが、誠に清々しい。今日の気温は最高24度、最低16度…日本の皆さん、ザマアミロである(失礼!:笑)。

昨日は、下見会のセットアップは終了したが、ミーティングに明け暮れる。先ず、来年3月のオークションに出品が決まった、素晴しい浮世絵版画のコレクションや現代美術、アール・デコ等を含む個人コレクションに関わるアート全分野と、法律担当やプレス等のヘッドが集まっての全体会議(コレクション総額は100億円以上になる)。それが終わると、アメリカ全土のレップ・オフィス代表とのカンファレンス・コール…これは、来週のオークションの目玉やセール・コンセプトについて説明し、地元のコレクターや美術館等にプロモートして貰う為である。そして何人もの顧客からの問い合わせやアドバイスを、電話で受け答える…昨日はロンドン、スイス等のヨーロッパの顧客達と電話で密談(笑)、幾ら位まで競ったら良いか(「ビッド・アドバイス」と云う)、作品状態はどうか(「コンディション・リポート」)等々だ。

そして夜は、我等がA姫の「サプライズ・バースデー・パーティー」(またか!:笑)を、L.E.S.のイタリアン「G」で企画開催。今回の「共犯者」は、ウェッブ・デザイナーのKちゃん、ライター夫妻のM女史とD氏、ヘア・デザイナーのMちゃん、建築家Sと作曲家Aちゃんカップル、カメラマンのG氏、ライターのKさん、A姫のイタリアン・プリンス、ピエトロ、そして我々地獄夫婦である。

本当は、「出席者全員」がピエトロの顔を複写して作った「ピエトロ・マスク」を被り、「全員ピエトロ」で姫を迎えると云う、筆者に因る今世紀最高のアイディアが有ったのだが(因みにピエトロと頭部が似ているD氏だけは素顔のままで、「さて、本物のピエトロは誰でしょう?」と云う案も有った…Dさん、スミマセン:笑)、この時期全員が超多忙の為已む無く断念、シンプルに「ピエトロがA姫を連れ出して、皆がレストランで待っている」と云う古典的な手法に落ち着いた…もう我々は「サプライズ・パーティーの専門集団」と化しているのだ…これは「夜逃屋本舗」並に、商売になるかも知れん(笑)。

8時半にA姫とピエトロが来る為、我々は8時から待機。待っている間には、Sのパートナーであるレム・コールハースのモスクワに新設される大学院の学部長就任裏話や、女性が萌える「美少年『ギムナジウム・カフェ』」、「レゴ」に「日本の城・神社仏閣シリーズ」を提案しよう話、M女史に頂いたマドンナのトレーナーに因るエクササイズ・ビデオ、妻とM女史に拠る「私がフライト・アテンダントを嫌いな理由」等で盛り上がる。

そしてついに、PがA姫を連れ立って登場!花束を持ち、その花と同化しそうな「朝顔柄のシャツ」を着用したこの孫一が、ハッピー・バースデー!と云って近付くと、A姫は「何が起ったの?」と云った顔で呆然、暫く信じられない風に「眼が点」になっていた(笑)…大成功である(「ドッキリ」の野呂さんの気分は、きっとこんなだったに違いない:笑)!後でA姫に聞くと、ピエトロは「アフリカの大統領が云々…」と電話での一人芝居迄して、姫を「G」迄連れて来たらしい…中々の演技派である(笑)。

皆でプレゼントを渡し乾杯、美味しい料理に舌鼓を打つ。ムール貝等のアンティパスト、「カラスミとチーズのスパゲティ」や「ズッキーニとオルゾのリゾット・ペスト・ソース」(極旨!)、「ポーク・シャンクとポレンタ」やレッド・スナッパー等、もうどれもコレも「molto squisito!(メチャ旨い!)」…流石、シニョーレ・ピエトロである!そして話も盛り上がった或る時、ふと隣のD氏を見ると、D氏は何とスパゲッティを「箸」で食べているでは無いか…吃驚していたら、徐にD氏が袋を取り出したのだが、その中には常時バッグに入れて携帯していると云う十膳に及ぶ「箸」の数々であった!

D氏はニューヨーク生まれの生粋のニューヨーカーなので、てっきり「エコ」かと思ったら、実は子供の頃からスプーンやフォークの金属の味が駄目で(プラスティックなら大丈夫だそうだ)、義理のお姉さんが日本人だった事も有り、何処で何を食べるにもずっと箸を使っているのだそうだ。カラフルなのはフランス料理用、真ん中にネジが付いていて、分解収納出来る漆箸はデザート用と、もう歩く「箸の見本市」の様であった(笑)。「おニャン子倶楽部」や筆者も大好きな「Perfume」迄、日本のアイドルやサブカルにも非常に詳しいD氏…恐るべしである。

ピエトロの名演技(伊達に「ニュー・シネマ・パラダイス」の女優の実弟ではない!)で始まったプリンセスの為のサプライズ・パーティーも、ピエトロ自身が選んだ美味しいワインや食事で和気藹々と進み、無事終了。皆からのプレゼントも、Kさんのお子さんからの「ヒエログリフ・レター」や、スワロウスキーの「茶筅型」アクセサリー(?)、アンティークのロケット、咥えてスーハーと息をするだけで痩せると云う「ブレス・スリム」(笑)、「マン・レイの唇」ペン等など楽しい物ばかり…日頃皆の為に、忙しい中駆け回ったり知恵を絞ってくれているA姫への、我々からのほんの少しの感謝の気持ちであった。

パーティー後、店を出た時の初秋の夜の風は、忙しい皆に束の間の、しかし本当に幸せな気分を運んで来てくれた。

今日からの一年が、姫にとって素晴しい一年で有ります様に…。