「人」対「食べ物」と、現代美術シンポジウム。

突然だが、最近夫婦で暇さえ有れば観てしまっている、「Man V. Food」と云う番組をご存知だろうか?

ニューヨークでのTIME WARNER CABLEなら、88チャンネルの「Travel Channel」で放映されている、端的に云えば「大喰い番組」なのだが、所謂日本での「大喰い番組」とは異なり、ホストの「アダム」と云う男が全米各地を廻ってご当地フードを紹介しながら、名物店で「本当に信じられないサイズ」の料理を制限時間内で食べられるか、と云う番組で、要はアダムが制限時間内で食べ切れば「MAN」の勝利、食べ切れなかった時は「FOOD」の勝利となる(笑)、人対食べ物のガチンコ勝負番組なのである。

例えば10種類以上の具の入った、3kgは有ろうかと思われるタコスや、高さが20cm.に及ぼうかと云うチーズ・バーガー、その他超巨大なピッツァやマカロニ・チーズ、ドーナッツやステーキ、アイスクリーム・サンデー等、見ているだけで腹が減り、しかしそれと同時に、自分のコレステロール値と尿酸値が、急激に上昇した気にもなるので少々不快なのだが(笑)、途中で「アダムは近い将来、高コレステロール、高尿酸値と高血圧で、死んでしまうのでは無いか?」と本気で心配してしまう程、彼は食べるのである!

そしてこのアダムは、そう云った同情を誘う程に、何とも愛らしく憎めないキャラで、丸っこい身体に愛嬌の有るたれ眼の顔、時には信じられない位に美味そうに、時に絶命しそうな程苦しそうに食べ続ける姿に、視聴者たる我々は惜しみ無い声援を送るのだ…彼が食べきった後に叫ぶ、「Man won!」の雄叫びを聴く為に(笑)!我ら「人間代表」のフード・ファイター、アダムには身体に気を付けて、食べ過ぎない様にして欲しい(笑)。

さて、昨日の土曜はノンビリと過ごし、午後からはチェルシーに在る「Chambers Fine Arts」の開廊一周年記念パーティーへ。

午後2時から始まるパーティーのお目当ては、其処に展示される中国現代美術も然る事ながら、やはり「Golden Unicorn」の飲茶である!3時過ぎにギャラリーに着くともう結構な人が来ていて、オーナーのクリスや、彼の姪のクリスティーナ、現代美術家のインゴや元サザビーズのジョン、美術史家の玲子さん、そしてC&Rのカップル等の友人達と歓談。相変わらず美味しい蒸し餃子や春巻、水角や餡入り胡麻団子等を、「アダム」の顔を思い出しながら、中庭でガツガツと頂く…大満足且つ少々自己嫌悪な、パーティーであった(笑)。

そして今日日曜は、妻と午後からアジア・ソサエティーで開催されたシンポジウム、「Collectively Speaking: Art the Culture of DiY in Japan」へ。このシンポジウムは、現在開催中の奈良美智展の関連イヴェントで、「Collectivism」と「Do it Yourself」のムーヴメントに就いて考察する試みである。

モデレーターはアジア・ソサエティの手塚女史(しかし、手塚女史の英語は本当に素晴らしい…流石である!)とハーヴァード大のユキオ・リピット准教授、スピーカーは、現代美術史家の富井玲子氏、ニューヨーク大学のトーマス・ルーサー准教授、芸大の毛利嘉孝准教授、そして建築家の坂茂氏。筆者の時間の関係で当初最初のスピーカーの予定で有ったが、遅れた為に最後と為った坂氏の発表は聴く事が出来なかったが、他のレクチャーは何れも興味深い物であった。

明日の朝は、いよいよ日本へ向け出発…どんな美術品と人との出会いが待っているか、楽しみである…が、アダムに為らぬ様に、くれぐれも気を付けねばならない(笑)。