下見会終了…勝負は明日だ。

何と、小沢一郎が敗北した。

これで日本が変われる可能性が、取敢えず無くなった訳だが、残念至極である。菅内閣の陣容を見るまでは何とも云えないが、これで再びアメリカ追随の腰抜け政府に為る事だけは、間違いが無いだろう…日本の21世紀の夜明けは遠い(涙)。

そして今朝、NBCの朝の番組を観ていたら、モジャモジャ頭で髭茫々の太ったオヤジがスタンド・マイクを持って歌っていて、何処か見覚えの有るオヤジだなと思ったら、何とロバート・プラントであった!ご存知レッド・ツエッペリンのリード・ヴォーカル、ロバート・プラントは、数年前何と「カントリー」のデュエット・アルバムを出してグラミーを獲っているが、今日観た時も柔らかい雰囲気になっていて、しかし、優しい曲にも拘らず、スタンドマイクを斜めにし巨体を傾けて歌うスタイルは健在であった(笑)。

さて昨日も下見会中の取材は続き、午後からは会社を小一時間程抜け出して、取材班と共にVIPコレクターW氏のお宅へ。W氏宅は5番街、セントラル・パークを見下ろすアパートメントの9階に在り、エレベーターを降りると、もう其処が彼の住居である。この日の取材は、筆者がVIP顧客を尋ねて彼のコレクションを一緒に見る、と云う企画だったのだが、取材班もアパートメントの玄関を入った所から「スゲー!」の連続、W氏のアパートに招き入れられても、その溜息が途切れる事は無かった(笑)。

W氏は既に引退しているが、医学博士で大学教授。アートのコレクションは「染織」から始め、中国陶磁器を経て、現在は桃山茶陶等の日本陶磁器・根来漆器・肉筆浮世絵を含む絵画等、400点に渉る収集を誇る、大コレクターである。W氏のアパートメントの玄関には、17世紀初頭の某美術館旧蔵、又兵衛風「車争い図屏風」や明治期の染織が掛けられ、「中央公園」の鬱蒼たる緑を見渡す大きな窓が印象的な、天井の高いクラシックな居間のオーク壁には、クリスティーズから購入した安井曽太郎の油絵、巴水の珍しい屏風絵(これもクリスティーズ)、国芳の肉筆美人画アメリカ絵画と共に掛かり、奥のテーブルには恐らく世界最高峰クオリティと云っても過言では無い、これもクリスティーズから買った根来瓶子や巨大な銘入り輪花盆等が飾ってある。

廊下には各時代の掛軸…益田鈍翁旧蔵の「石山切貫之集」から始まり、鎌倉期の年記の入った「地蔵菩薩来迎図」、室町狩野(伝永徳か)の「布袋図」、クリスティーズが麻布美術工芸館旧蔵品の売り立てをした時に買って頂いた、勝川春章の傑作肉筆「三美人図」が掛かる。そして図書室のテーブルには、某美術館旧蔵、菱川師宣のこれまた大名品「吉原風俗図巻」が紐解かれていた。

W氏と2人で絵巻を眺め、話をする。撮影時にも云ったのだが、オークション・スペシャリストにとって、W氏の様なA級コレクターとの会話は、此方の方が勉強になる事も本当に多い。オークションではどんな名品が出て来ても、ほんの数ヶ月で手元を去ってしまい、残念ながらその作品を「深く」研究する暇が無い。その点、大金を叩いて買った美術品を手元に置き、内外の学者を呼んで自分のコレクション作品を提供し、研究させるW氏の様な存在は、筆者に取っても非常に重要且つ貴重な存在なのだ。

W氏もインタビュー中終始にこやかで、大変ご機嫌でした。Dr.W、ご協力有難う御座いました!

さて下見会最終日の今日はと云うと、午後から日本クラブの会員向けの「ギャラリー・トーク・レクチャー」。14人ほどの方が集まり、作品説明と共にレクチャーを行った。皆さん熱心で、一生懸命メモを取ったりしての参加。外国に来ている日本人も海外に来ていればこそ、日本文化に関心を持つと云う事も有るのだろう。

走り回った下見会も、無事終了…美術館からのビッドや「ちょっと良い情報」も入って来た。

勝負は、明日だ!