「ベネズエラ料理の謎」と、「興奮」と「癒し」をくれた2人の若きミュージシャン。

土曜日、ギャラリーを廻った後の夜は、先ずは友人のヘア・デザイナーMちゃんのバースデー・ディナーに、ゲル妻やA姫と参加。

場所はイースト・ヴィレッジの「ベネズエラ料理」店。ベネズエラの料理は、ベネズエラが嘗てスペインの植民地だった事で、メニューにも「タパス」等のスペイン風料理が多いが、ブラジル料理等とも共通する素材も多く、如何にも中南米らしい献立である。

「ポーク・ベリー」が旨いと云うので早速食べてみると、まるで日本の「豚の角煮」の様で本当に旨い!次に食べた、中にチーズの入った「お好み焼き」風の料理も、何処かしら「出汁」風味が有り、「ウーム、ベネズエラ料理と云う奴は、日本食に近い味なんだなぁ…」と皆不思議顔で感心している所に、或るディナー・メンバーに因って「衝撃の事実」が明かされたのだった。

その「衝撃の事実」とは、このベネズエラ・レストランのシェフが何と「日本人」だったと云う事!詳しく聞くと、この店が在った場所には長年日本人シェフの経営する日本料理店が在り、そのシェフがベネズエラ人女性と結婚した為に日本料理店を止め、ベネズエラ料理店に鞍替えしたのだそうだ…道理で「日本の味」がする訳である(笑)。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」的結末に、皆大爆笑であった。

そんなMちゃんのバースデー後は、ゲル妻と共にブルックリンへと向かった。ウイリアムズバーグのクラブ「BPM」で11時から行なわれる、HIPHOPラッパー「Shing02」(→http://www.e22.com/shing02/)のライヴを観る為である。

エジプト帰りのShing02君とは、建築家K君の紹介で「嵐のクルーズ」(拙ダイアリー:「嵐の中の、『102歳のバースデー・パーティー』@Aquaholic号」参照)の時に会って以来。「BPM」に着くともう沢山の人が来ていて、作曲家AやアーティストS、ウェッブ・デザイナーK等の友人達の顔も見える…ステージ前のShing02君にも会え、握手を交わし激励…久しぶりの彼は、相変わらず「シャープ」で有った。

そして暫くすると、スクリーンに映し出されたアニメ「銀河鉄道の夜」をバックにShing02が登場、ライヴが始まると場内は一気に盛り上がり、彼の産み出すグルーヴに乗って皆踊り始め、空気も薄くなる(笑)。

Shing02の流石の英語、そして日本語を駆使したラップ・ナンバーの連続に、筆者の50間近の頭や腰も興奮して動きっ放し…人類全ての祖先と云われる「Eve」を引き合いに出し、人種を超えた人類の結束を訴え続けるShing02のパフォーマンスは、最後の曲「400」迄休む事無く突っ走り、素晴らしいライヴは幕を降ろした。

汗だくの体を引き摺り、深夜2時を廻ってヘルズ・キッチンの家に辿り着いた途端、ベッドに倒れ込んでその日は終了。そして翌日の日曜は、オークション以来の疲れも手伝い、家でグダグダしながら、前日に届いた郵便物を開封していたのだが、その中の1通の封筒から、1枚CDが現れた…友人のクラシック・ギタリスト、村治奏一君からの新譜で有った。

奏一君のブログ「じぶログ」(→http://murajisoichi.blogspot.com/)で彼が描いている、可愛いイラストがジャケットに使われたこのアルバムは、「虹」「翼をください」「コダマスケッチ」の3曲入りのミニ・アルバムで有る。

早速聴いてみると、奏一君の繊細な音色に、そして何よりも彼が作曲した2曲、「虹」と「コダマスケッチ」のメロディーの驚くべき美しさに、疲れていた心が底から癒されたのだ!

トレモロが何とも美しい「虹」、赤い鳥の有名曲を奏一君が見事に編曲した「翼をください」、そしてNHKのテレビ番組「街道てくてく旅〜熊野古道をゆく〜」のオープニング曲に使われた「コダマスケッチ」…どれもクラシック・ギタリストである奏一君らしい作編曲で、彼の才能の新たなる一面を垣間見せてくれる、素晴らしい出来の曲達で有る。

最近お疲れの筆者だったが、ジャンルの異なる2人の若く才能豊かなミュージシャンに、興奮させられ、そして癒された週末となった…Shing02君、奏一君、有難う!