ワープした、「ハロウィン・イヴ」。

さて、素晴らしい天気だった土曜日は、ゆっくりと起きて、ブランチは二週連続で「パンケーキ」。

しかし、この日のパンケーキは「ホテル・ニューオータニ」のパンケーキ・ミックスで、我々一番の「お気に」。以前はこの「ニューオータニ・パンケーキ」も、ニューヨークの日本食料品店でも手に入ったのだが、何時の日からかその姿を消し、前回日本に帰国した際、近所の神保町のスーパー「FUJIYA」で買い、態々持ち帰ったものである。

この「ニューオータニ」のパンケーキは、「自宅で作るパンケーキ」の白眉であるが、このフワッフワの焼き上がり、そして付属の特製シロップの美味さと来たら、先週食べた「ケーキの様なパンケーキ」とは比較にならない。アツアツ・フワフワのパンケーキ、サイドにつけたブロッコリとボイルド・ソーセージ、そしてコーヒー&「青汁」の至福のブランチを頂くと、早速「夜の準備」に取り掛かる。

その「夜」なのだが、本来大掛かりな「ハロウィン・パーティー」を計画していたにも拘らず、ご存知の通り「ゲル妻」が膝の手術をした為に、残念ながら中止せざるを得なくなった。さて実は今年やる筈だったハロウィン・パーティーでは、「『メキシコ』若しくは『宇宙』」と云うコスチューム・テーマも決めて有って、それは最近手に入れたアート作品に因んだ故で有ったのだ。その作品は、或る著名なメキシコ人を画題とし、なので当然「メキシコ」なのだが、では何故「宇宙」なのか?それは、この作品の「前の持ち主」が、「宇宙」に係る或るセレブに他ならないからなのだが(ヒントは、今日のダイアリーの最後に!)、其の「前所有者」の名を聞き作品を観れば、「あの人がこの作品を…成る程!」と妙に納得したりもするので、非常に楽しみにしていたのだが、仕方が無い(涙)。

その代わり、と云っては何だが、妻の「手術成功祝い」と「ハロウィン・イヴ」を兼ねて、何人かで集まり「冷麺と北京ダック」を食す、小規模の食事会をしようと云う事に為った。今回のメンバーは、「冷麺」云い出しっぺのヘア・デザイナーMちゃん、ライター夫妻のM女史&D氏夫妻、建築家S氏と作曲家Aちゃんカップル、ピアニストH女史、ギタリストS君、写真家G君にゲル夫婦。年齢も20歳から50ウン歳までバラエティに富むが、余りに個性的な顔ぶれである。

時刻は7時半、非常にハイテックな作りの妻のクラッチ(松葉杖)の内の一本を、マルセル・デュシャンの「レディ・メイド」風に壁に飾って、ゲストを待つ。ゲストが次々に来訪して料理の準備が始まり、Mちゃん特製の本当に美味しいチャーシュー付き冷麺、M女史持参の蓮根サラダや切干大根、ゲル妻負傷の為宮殿からの料理は持ち帰った「北京ダック」でディナーがスタート。冷麺のチャーシュー、蓮根の素晴らしいシャキシャキ感にシャンパン・ワインも進む。北京ダックの売れ行きも良く、アッと云う間に食べ物が無くなり掛けた所へ、M女史の秘密兵器「卵とトマトの中華スープ」が登場…トマトを一度胡麻油で炒めてからスープに入れるのだそうで、これがまたサッパリしてマジ旨い!もう、MちゃんとM女史の「ダブルM」に大感謝である!

そうこうしている内に、10時半頃、現代美術家のS氏と写真家Y氏が遅れて登場…これで役者は揃った!。

シャンパンやワインのボトルは空き続けたが、取り敢えず此処で一息「デザート・タイム」となり、食卓に現れたのはAちゃん特製の「黒蜜掛けおはぎ」…これがまた大変な美味!その他おかきやポッキー、「Black Hound」のクッキー・生チョコ・ガナシェも皆でガツガツと食し、其の上、将来は「『ハムバ(ハムスター・バックス)』と云う名のコーヒー・ショップを開店したい」と夢を語るD氏持参のサイフォンで点てられた、信じられない位に薫り高い「ケニアン・コーヒー」を頂きながら、皆脳内に「糖」と「カフェイン」を送り込む。人間と云う生き物は、確かに第六感的な「予知能力」を持っているもので、我々はこれから自分達にとって、十分な量の糖分とカフェインが必要になるであろう事を、自ずと知っていたに違いない(笑)。

そしてそれはどう云う事かと云うと、酒もかなり入った我々は、「時間の感覚」を失ってしまったからである(笑)。BGMも、Aちゃんの新曲からトム・ウェイツキース・ジャレットドビュッシーから井上陽水へと移り、「全てのジャンルにおける、私のアーティストBEST3」や「おニャン子クラブ」、「坂本龍一のNY公演」、「シュトックハウゼン」から「スカトロ趣味」、「何故、安部公房が『ノーベル文学賞』を獲らなかったのか!」迄余りにも振れ幅の大きい話題、終いには、建築家S氏の「絶対音感」と「美声」を確認しようと云う動議が上がったが拒否され紛糾(笑)、気が付けば時刻はハロウィン当日の朝、午前5時過ぎ、ボトルも10本近く空いた末、「時空」を超えてお開き。

本来スペーシー(宇宙的)な夜だっただけに、「タイム・ワープ」した我々「エンタープライズ号」の乗組員12名は、爽やかなハロウィンの朝、各々の星へと「意外と元気に」帰還して行ったのであった。