「此処は何処?」な忘年会。

昨日は漸く、東京で仕事。今日の収穫は、屏風と仏教美術…大分ラインナップも揃ってきた。

そして夜は、畏友の作家S氏に以前連れて行って頂いた、歌舞伎町のディープな北京料理店「G」にて(拙ダイアリー:「歌舞伎町の夜」参照)、「アート忘年会」。

現地で「8時だよ!全員集合」(古っ!)の予定だったが、その前に、忘年会参加メンバーの1人で、アート・展覧会情報サイト「Tokyo & New York Art Beat」ファウンダーのF君に依る、「アートスケープ」用のインタビューを受ける事に。

7時にF君と、何十年振りに行く事になった「アルタ前」で待ち合わせ…駅からゲル妻と急ぐが、何とも物凄い人で中々進まない。和食屋を経営する弟に拠ると、昨日17日の夜は、「今年最も忘年会の多い夜」だそうで、この人出も頷ける。

人混みの中、やっとF君を見つけ再会を喜び合うと、F君が「インタビューを録音したいので、何処か静かな所が良いですね」と云う…「今晩」の新宿にそんな場所が?と色々考えた末、結局忘年会場である「G」が一番静かでは無いかと云う事になり、「G」へ向かったのだが、実はそれには理由が有って、以前この店にS氏と行った時、金曜日の夜にも関わらず、そして3時間以上居座ったにも関わらず、たったの一組も客が入って来なかったからなのである(笑)。

駅から歌舞伎町への物凄い人波を掻き分け、風俗店を横目に観ながら、やっと「G」に着くと、「ママさん」と呼ばれる気の良い中国人のオバチャンが笑顔で我々を迎え、店内を見渡すと外の喧騒とは別世界、1組の黒人がテーブルを挟んで向かい合い、アフリカの何処からしき言葉で話しているだけで有った。

この光景には、F君も眼をパチクリしていたが、予約をしていた奥の「マフィア席」に着いて取り敢えず乾杯し、インタビューがスタート。ニューヨークのオークション・ハウスで働く事、遣り甲斐等に就いて、質問をされる。サイトでも聴ける云うこのインタビューでは、時折掛かって来る出前(因みにこの「G」は、24時間営業・出前可である!)の注文に、大声で応えるママさんの声や、アフリカ人達の会話もきっと入っているので、面白いモノに為ったのでは無いだろうか…撮られた筆者の写真も、「インチキ中国屏風」の前でのモノなので、キッチュに見えるに違いない。

さて、三々五々忘年会出席者達がやって来たのだが、店に入ってくる時の「ホントに此処かぁ?」な顔が、マジに笑えた!一本裏の風俗街に迷い込んでしまった、アーティストNM嬢とクラシック・ギタリストの「にがう」ことS君、F君のパートナーのAさん、日を間違えて前日この辺を徘徊し、外人にナンパされ続けたMMさん、そしてF君と我ら地獄夫婦…面子が揃い、忘年会がスタートした。

ママさんと相談しながら注文した料理の数々、牛とジャガイモの炒め、ニラ玉チヂミ、海老マヨ、豆苗炒め、アスパラと牛肉炒め、胡瓜のニンニク酢漬け、スペアリブの黒酢炒め、太刀魚のフライ、フカヒレ炒飯や高菜キムチ炒飯等、もう「全品」美味く皆驚愕…ママさんからのサービス・チヂミも出て大満足。そしてデザートには、杏仁豆腐、胡麻団子、名物の長細い餡饅迄完食、怒涛の3時間であった!

「春樹」批判や相続税率、PERFUME等、話題も飛びまくりの食事中、流石に昨晩の「G」には、我々以外にも客が入っていたのだが、しかしそれは、例えばそっくり双子の中国人兄弟や、如何にものオヤジとクラブの娘のカップル、背の非常に低い中年日本人と黒人青年、そして茶髪の女の子と云う不思議な3人組等、剰りにも個性的な客層で有った…一体、此処は何処なのだ?(笑)

帰り際、MMさんが壁に貼り付けられた小さな黒い額を発見、そしてその中には何故か「キス・マーク」が!皆で考えたが一体これが何なのか全く解らず、ママさんに聞いたのだが、ママさんも知らないと云う…謎である。

散々飲み食いし、それでも1人たった3300円の代金を払い、多くの謎を残す名店「G」を後にして解散。帰りの新宿駅のホームには、信じられない数の人が、まるで蟻の様に犇めき、線路に落ちそうになっていた(その模様は、S君のブログ:「じぶログ」参照)。

新宿歌舞伎町、此処は東京でも日本でも無い…「此処は何処?」な、アジアなのである。