年の瀬の行動の記録。

12月22日(木)
11:30 渋谷で、恐らくは30年振りかと思われる「六本木の先輩」とランチ。その先輩は学校は違ったが、僕が高校生の時にK大生だったNさんで、僕を良くディスコやオシャレなレストランに連れて行ってくれた人だ。では、何故このNさんと会う事に為ったかと云うと、それはNYで偶にお会いして居た武者小路千家「随縁会」のKさんが、或る日「孫一さん、Nを知ってますか?」と僕に聞いて来たからで、後で聞くと何と彼らは又従兄弟同士なのだそう。偶々ニューヨークでの日本文化に就て話して居たら、僕の名前が出て来てお互い吃驚したそうだ…矢張り世間は異常に狭い。

15:00 新しくアジア美術部門の世界統括ヘッドに為ったFと、虎ノ門のアンダーズでミーティング。「上の人」は、上のクラスのホテルに泊まるのだと再認識。

16:30 青山スパイラルで開催して居た「TAF + plus-ultra」へ、佐藤令奈の作品を観に。然し若手作家&ギャラリストをフィーチャーするこのイヴェントは、レントゲンの池内氏の功績が大。これからも刺激的なフェアを期待して居る。

19:00 顧客と東麻布の和食店「F」で食事。此処は元々骨董屋の様な名前の店で、名前の変わった後も、店内は余り変わらない。もう一度来たいかと云われると?だったが、料理の味はまぁまぁ。その後は白金で一杯遣って解散。


12月23日(金:天皇誕生日
13:00 上越新幹線を使って、群馬県鄙びたR温泉へ。あぁ、これぞ日本人の至福!上毛牛のしゃぶしゃぶを食べ、肌がツルツルに為る温泉に満足するが、帰りの電車に乗り遅れる…然し、これも旅の醍醐味だ!と思ふ。いとおかし。


12月24日(土)
18:00 歌舞伎座に向かい、公演前に鳴物の家元に年末のご挨拶。今年も良き茶碗と共に、良き時を過ごさせて頂きました。

18:30 今年最後の歌舞伎は「十二月大歌舞伎 第3部」、「二人椀久」と「京鹿子娘五人道成寺」。さてクリスマス・イヴに態々この演目を観るのには理由が有って、それは「クリスマス」と云えば「ジングルベル」、「ベル」と云えば「鐘」、「鐘」と云えば「道成寺」だからだ(拙ダイアリー:「『ジングル・ドージョージ・ベル』、或いは『和の生誕祭』」参照)!そして更為る大きな理由は何と云っても大和屋さんで、某歌舞伎関係者に「大和屋さんは、若しかしたらもう道成寺は踊らないかも知れない」と、聞いたからだった。そんな想いも有って観た玉様の舞と「眼」は、本当に素晴らしく、残りの4人が可哀想な位だったが致し方無い。「今後も大和屋の道成寺を観せて下さい…」と神に祈った「ジングル・ドージョージ・ベル」なイヴと為った。

21:00 「K」で丁稚をして居た時代からの知り合いの寿司屋、「M」で食事。「M」は小さな店だが、今は立派な主人と為ったMの腕が燦然と光る名店だ。そして寿司と云う食べ物は、何万円も出して鹿爪らしく食べるのでは無く、気の合う主人と軽口を叩いて食べるに限るし、クリスマス・イヴ程和食か中華を食べるに相応しい夜は無い(笑)。歌舞伎→寿司と誠に「和」なクリスマスでした。


12月25日(日)
15:00 初台のオペラシティ・ギャラリーに向かい、レセプションで確りと観れなかった山本耀司と朝倉優佳のコラボ展、「画と機」を観る。この「画と機」と云うタイトルは、松岡正剛氏に因るとの事。またペインターの朝倉優佳は、ヨウジ・ヤマモトの服に画を描いたり、店舗に壁画を描いたりして居て、既に賞も獲って居るが、個人的には代官山のベルナールの娘さんとして知って居た、現在女子美の博士課程在学中の学生さん。大きな作品の中に、力強いブラッシュとテクスチャーの有る良い作品が有った。

18:30 敬愛する現代美術家西野達氏に誘われ、中目黒高架下に出来たコンテンポラリー・アート・レストラン「Pavillion」へ。この店には、男女トイレを横断する「街灯」作品「うしろからぶちこめ!」(何ちゅうタイトルや…笑)、や「天井から吊るされたベスパ」な「バレたらどうする?」等の西野作品を始め、川島小鳥名和晃平等のアートが展示されて居るが、何と云っても西野作品が抜群に良い。結局この晩は達っつあんと僕、UFO女史、アーティストK氏&Aさん、建築家Iさん&ベルナールとの忘年会と為ったのだが、店のオーナーのT氏も急遽乱入。その後達っつあんは早々と逃亡して仕舞ったが、残りの面子で中目黒の街に出て、もう一杯&ラーメンで慰労する。


12月26日(月)
8:30 前夜寝たのが略略午前3時だったにも関わらず、かいちやうと本年最後の食事の為に、パンケーキを食べに青山「C」へ。今年1年の「お茶」への感謝をし、先日「なんでも鑑定団」で出た天目茶碗や、京近美での楽展、来年東博での「茶の美術展」等の四方山話をしながら、外はパリッ、中はフワッのパンケーキを頂く。本年も大変お世話になりました!

19:00 弟の店神楽坂「K」で、小説家H氏&美術史家H先生と忘年会。このお二人は僕の友人知人の中でも最も知的なご両名なので、変な事を云わない様に緊張もするが刺激も多い。今回は「君の名は」と「シン・ゴジラ」の評価を完全にシェア出来て、誠に嬉しかった。


12月27日(火)
15:00 友人の美人姉妹と、アフタヌーンティー@マンダリン・オリエンタル。最近日本では「アフタヌーンティー」がメジャーに為った様で、ラウンジも女性客で一杯。久し振りに頂いたアフタヌーンティーで思い出したのは、四半世紀前に生まれて初めてロンドンのリッツで頂いた時の事…スコーンの美味しさに度肝を抜かれた序でに、お会計にも肝を潰した物だ。

19:00 アート系の友人を集めて僕が新宿歌舞伎町のオバちゃん中華「玉蘭」で毎年主催して居る、恒例の忘年会「玉蘭(タマラン)会」。今回もアーティストやキュレーター、ギャラリスト、建築家、編集者、ライター、クリエイティブ・ディレクター、ミュージシャン等の約30名が集まり、大盛り上がり!今回は建築家長谷川匠君が「シュタイデル・ブック・アワード」のグランプリを獲ったので、先ずはそれをお祝いし、序でに司会も頼んじゃいました。後は組んず解れつの酒池肉林・阿鼻叫喚の宴(嘘:笑)と為り、その後は近くのたこ焼き屋で2次会をし、深夜2時過ぎに解散。アーティストF君に関する面白過ぎ&エロ過ぎる話題を此処に書けないのが残念だが、皆さん、今年もお疲れ様でしたー!


12月28日(水)
12:30 都内某ホテルにて、VIPクライアントと忘年ランチ。今年、僕が外国の美術館に数億円で売った屏風のオーナーだったこの顧客は、とても80歳を超えた様には思えないパワフルな方で、何時も此方がパワーを貰う。


12月29日(木)
12:00 友人と表参道の「C」でランチ。此処は広くて感じの良い内装も良いが、エスニック料理が美味い。この日はラム肉の煮込みとクスクスを頂く。然し店内は女性ばかり…男は何処に行って居るのだ?

19:00 西海岸から日本に来て居る大顧客と、麻布の一軒家「K」ですき焼きディナー。この顧客とは来年大きな商いをするのだが、そのコレクションに劣らず人柄も本当に素晴らしい。そしてこのディナーが今年の仕事納め。


12月30日(金)
12:00 近所の行き付け「K」で、今年最後のランチ。奥駈と謡をやって居る社長の声が眩しい(笑)。

14:30 父の墓参に行き、今年1年の感謝を済ませると、その後実家に。TVを見て居て画面に古坂大魔王の出て居るCMが始まると、母が急に「この人は一体誰なの?」と聞くので、iPadで「PPAP」のフル・ヴァージョンを見せて説明するが、「これの何処が面白いの?」と聞かれて返答に困る。

21:30 浅草の小劇場風カラオケ店「S」で、現代美術家S氏の「建築 VS アート」大忘年会。この「S」は迫り上がる舞台、粉雪やスモーク、背景のチェンジ等全て可能で、しかも舞台後ろの衣装室でコスプレが可能な店だ。7時から始まっている筈のこの会に、僕は顧客との食事で大分遅れて仕舞ったが、何とか着いた途端、S氏&K女史の命令で、コートを脱ぐと同時に舞台へ引っ張り出され、舞台裏でヤンキー系の衣装&サングラスを着用させられると、テンションも上がらぬ侭否応無しに「タイガー&ドラゴン」を歌わされる(笑)。そして間奏中に舞台から見渡すと、「建築家テーム」には主将のI氏を始め、S女史や若手I氏等、ズラリと超有名建築家揃いで、対する僕が所属する「アートチーム」には、主将の現代美術家S氏を始め、Y画伯や小さきモノ造りのS氏、女性現代美術家のMさんや女優のTさん、実業家コレクターのダブルO氏等の強面(笑)が揃って居て緊張感が高まるが、何とか歌い終える。その後お互いの首相が歌い終わったが、建築チームの結束は強く、どうもアートチームは敗退濃厚…その時点で既に「来年は皆集まって、事前に練習せねば!」の声が上がったが、皆さん本当にそんな時間が取れるのでしょうか?(笑)


これで今年も終わり…時間と月日の余りの早さには驚く他無いが、人生の中盤を過ぎた者には、過酷とも云える。その疲れを吹き飛ばす為に、明日は「第九」を聴きに行く予定。

皆さん、良いお年を!


−お知らせ−

*僕がエクゼクティヴ・プロデューサーを務め、「インドネシア世界人権映画祭」にて国際優秀賞とストーリー賞を受賞した映画、渡辺真也監督作品「Soul Oddysey–ユーラシアを探して」(→http://www.shinyawatanabe.net/soulodyssey/ja/)が、好評の為、2017年1月21・24・30日の3日間、渋谷のアップリンクにてリヴァイヴァル上映されます(→http://www.uplink.co.jp/event/2016/45014)。奮ってご来場下さい。