孫一の選ぶ「ザ・ベスト・アート:2010」。

皆様、2011年のお正月を如何お過ごしだろうか。

思えば、去年も時間の赦す限り、また好むと好まざるとに関わらず、興味を持ったアート、展覧会、映画、舞台、書籍等を数多く眼にして来た。

そして今日此処に、自分なりにパフォーマンス、映画、書籍、展覧会、アート作品各分野の「ベスト5」を記し、最終的に昨年筆者が体験した全てのアートから、「ザ・ベスト・オブ・アート:2010」を発表したいと思う。

お分かりだとは思うが、筆者は所謂「評論家」では無いので、当然このランキングは独断と偏見に拠ると云う事を、此処に明示しておく。また各分野の1位には、その作品の事を記した拙ダイアリーのタイトルを付記しておいたので、ご参考迄。


1.「パフォーマンス」部門

第5位:山海塾「とばり」@ジョイス・シアター、第4位:「四谷怪談中村勘太郎のお岩@新橋演舞場、第3位:「海女・懐中の舞」シテ辰巳満次郎@宝生能楽堂、第2位:ゲルギエフ指揮・マリンスキー交響楽団マーラー交響曲第5番」@カーネギー・ホール。

そして第1位は…マウリツィオ・ボリーニ「オール・ショパン・プログラム」@カーネギー・ホール。このコンサートの模様は、拙ダイアリー「『カーネギー』で、零れた涙」を参照頂きたい。この他ピナ・バウシュ、大倉源次郎・藤田六郎兵衛の一調一管「安宅」等、素晴らしいパフォーマンス目白押しであった。


2.「映画」部門

第5位:「バスキアのすべて」、第4位:「鬼婆」、第3位:「シングル・マン」、第2位:「ソウル・パワー」。

そして映え有る第1位は…ミヒャエル・ハネケ監督作品「白いリボン」…詳しくは、「テロリズムの萌芽:『The White Ribbon』」を。何しろこの作品の芸術性は、卓越している。また去年は2、5位以外にも「This Is It」等のドキュメンタリーや、1950-60年代の日本映画に強い興味があった。


3.「書籍」部門

第5位:大江健三郎「水死」、第4位:千宗屋「茶 利休と今をつなぐ」、第3位:蓮實重彦「随想」、第2位:福岡伸一動的平衡」。

栄光の第1位は…間違いなく、平野啓一郎「葬送」。こんなに長く、引き込まれた小説は、誠に久し振りであった。詳しくは「列車の中で、零れた涙」参照。その他島田雅彦「悪貨」や村上龍「歌うクジラ」等の小説も好きであったが、古典芸能に関する書籍もかなり読んだと思う。


4.「展覧会」部門

第5位(同点):マレーナアブラモヴィッチ「The Artist Is Present」@MOMAと、会田誠「絵バカ」@ミヅマ・アート・ギャラリー、第4位:「長谷川等伯展」@東博、第3位:有元利夫「天空の音楽」@庭園美術館、第2位:小谷元彦「幽体の知覚」@森美術館

そして第1位は、「The World of Khubilai Khan」@METである(「The World of Khubilai Khan-Chinese Art in the Yuan Dynasty」参照)。昨年観た展覧会は剰りにも数多く、例えば千葉市美での「田中一村」やアジア・ソサエティでの「奈良美智」、台北故宮での「南宋展」や森美での「ネイチャー・センス」等、皆忘れられない展覧会だが、此処はMETの底力に感服。


5.「アート作品」部門

第5位:ピカソアンヘル・ド・ソトの肖像/アブサンを飲む男」、第4位:狩野山雪「老梅図襖」、第3位:小谷元彦インフェルノ」、第2位:長次郎黒楽茶碗「ムキ栗」。

そして第1位は…「キクラデス大理石女性横臥像」(B.C.2400)。この作品に関しては、1月25日発売の講談社「セオリー」に連載中の「オークションの目玉」に詳しいので、そちらをご覧頂きたい。昨年一年間、仕事・趣味を問わず、星の数程の美術品に出逢ったが、印象が非常に強かった美術品達で、特に1位2位に関しては、これ程に美しい作品に出逢えた事は、純粋に「奇跡」と云える程幸せであった。


そして…そして孫一の選ぶ、栄え有る「ザ・ベスト・オブ・アート:2010」は…

蒼井優展 うそっ。」@渋谷パルコ・ファクトリー(笑)!

異論噴出だとは思うが、此方としては余りに当然過ぎて、もう説明する気も無い(笑)…優ちゃん自身が、「カニ蔵」等及びもつかない「生きるアート」、真の「人間国宝」なのだから。それでも異論の有る方は、拙ダイアリー「合言葉は、うそっ。」の回を参照されたい…尚更納得出来ない事、請け合いである(笑)。

さてさて今年2011年も、どんな素晴らしいアートに巡り逢う事だろう…楽しみは尽きない。

そして後数時間で、ニューヨークに向かう機上の人となり、ダイアリーもニューヨークに戻る…さらば、日本!