もう「二つ」の「スーパー・ボウル」。

3月のオークション・カタログが、やっと校了した!

今回は320点を掲載するレギュラー・カタログと、「南蛮屏風」のみをフィーチャーしたカタログの計2冊…正直、死ぬ思いでした(涙)。この3月のオークションは、結果的に筆者のキャリアでも最も大きなセールと為って、エスティメイト下限ですら1400万ドル(約11億5000万円)を越えると云う高額セールとなった訳だが、とは云ってもこの1400万ドルの内、「南蛮屏風」と「李朝染付龍文大壺」のたった2点でその半分の700万ドルを越えてしまうので、残りの318点で700万ドル分と考えれば、そんなに驚くには当らないのかも知れない。

さて話は変わり、昨晩は「スーパーボウル」。この日の夜ばかりは、ニューヨークの街も何処か静かで、通りを行く車も本当に少なくなる。筆者の子供時代も、一時期日本でNFLブームが起り、お気に入りのチームのヘルメット・マークの付いたバインダーやノートを使ったりした物だが、当時筆者の大のお気に入りは「オークランド・レイダース」で、ジム・プランケットや、そして忘れてならぬ大スター、マーカス・アレン等の名選手が居ながらも、例えば49ersの様な強さは余り無く、その反面「黒とシルバー」のチーム・カラー、そして剣と片目の盗賊(?)のシンボル・マークが何とも不良っぽくて(実際素行に問題の有る選手も多かったのだが)、そこが最大の魅力的であった。

そして激太りしてしまったクリスティーナ・アギレラが、何とアメリカ国歌の歌詞を間違えた(笑)注目の昨晩の試合結果は、「パッカーズ」が31対25で「スティーラーズ」を下し、4度目のスーパーボウル・チャンピオンとなった…のだが、ハッキリ云ってそんな事は、筆者に取ってはどうでも良い。今日のテーマは、数日前にこのスーパー・ボウルに関わるニュースで観た、もう二つの「『不思議な』スーパー・ボウル」の事なので有る。

その「もう二つ」の内の一つは、名付けて「Puppy Bowl(パピー・ボウル)」。(http://www.google.co.jp/url?q=http://animal.discovery.com/videos/puppy-bowl-vi-puppy-bowl-vi-mvp.html&sa=U&ei=ly1QTeSELc-p8AbroOTTDg&ved=0CCsQtwIwCQ&usg=AFQjCNGZSZ7PBp-V6q1O2WHytZlZPSyFBg

2005年に始まったこの「Puppy Bowl」は、「Animal Planet」と云うTV局で、スーパーボウルの日の午後放映される番組で、今年第7回を迎えたらしい。ニュースで観た所では、何とも可愛いらしい仔犬達が、スーパーボウルも担当するアナウンサーの実況と共に、3 x 6m.程のミニチュアのスタジアムのフィールドをただただ駆け回るだけなのだが、驚くべき事にこの番組の放映時間は、何と2時間(笑)!そして「Kitty Half-Time Show」と名付けられた「ハーフタイム・ショウ」(!)では、子猫達が登場し「色気を振り撒く」(笑)…やはりプレイヤーは犬(男)で、チア・リーダー(女)は猫と云う事か。

筆者からすると、仔犬だの仔猫だのを2時間も眺めて一体何が面白いかと思うが(10分が限界だろう)、これも人それぞれ、恐るべき事に「110万人」ものアメリカ人が昨年の「Puppy Bowl」を観たとの事。汗っかきの、Tシャツを着た太った男達が巨体をソファに沈め、ビールとピッツァをサイド・テーブルに準備し、目を細めてこの「ゲーム」を観ているのだと思うと…アメリカ恐るべし、である。

そしてお待ちかねの「もう一つ」はと云うと、こちらは「Puppy」とは異なり、筆者も「断然」一度は観てみたいと思う「スーパー・ボウル」である…名付けて「Lingerie Bowl(ランジェリー・ボウル)」(笑)。(http://www.google.co.jp/url?q=http://www.youtube.com/watch%3Fv%3DGV2F64_zehI&sa=U&ei=hzlQTZynBISFtgfNu7G3AQ&ved=0CBsQtwIwAg&usg=AFQjCNF0j6bOjoAE-Ys7k-qwxAQCkqwgrA

この「Lingerie Bowl」は2004年にスタートし、昨日で第8回を迎えた。女性「アスリート」だけが出場するフット・ボールゲームで、その名が示す通りプレイヤー達はヘルメットと肩・肘・膝パットの防具、そして後はガーター、ブラとパンティだけである(笑)。こう聞くと「所詮、お色気番組なんだろ?」と思う方が多い筈だと思うが、騙されたと思って一度ご覧あれ、この「7 vs 7」フットボールのゲームは、鍛えられた肉体と肉体のぶつかり合う、「ガチ」の勝負なのだ。

肉体能力の非常に優れた、しかも美しく色っぽい女性達が、キツキツの「下着」(と云うか、「ウェア」)を着け、ぶつかり合い、タックルをし、走り、パスを投げ、得点する。未だ未調査だが(知っている方がいたら、御知らせ下さい)どうもきちんとしたリーグが有るらしく、この「ランジェリー・ボウル」は所謂その「頂上対決」なのだが、ハーフタイム・ショウには有名人も多々登場し、お色気のみならず美しい女性の肉体が躍動し、「勝負」する事に因って迫力溢れるスポーツ・エンターテイメント番組となっている所が、好ましくも素晴しい。ニュースでは、「Pay per View」で全世界の数百万人の人が観ていると云っていた…本当かどうか疑問では有るが(笑)。

そこで、これ等の「便乗ボウル」番組の事を考えたのだが、アメリカと云う国は本当にエンターテイメントが発達した国だと云う事だ。日本でこんな番組をやっても、到底多くの人が観るとは思えないが、そんな事よりも、番組の作りと云うかコンセプトが非常に確りしていて、或る部分非常に「真面目」なのである。これは、アメリカのTVが視聴者をバカにしていないと云う大きな理由の一つで、例えば日本で「ランジェリー・ボウル」と云うアイディアを誰かが出しても、運動音痴のグラビア・アイドル達がキャーキャー云って、珠にブラジャーが取れる度にモザイクが入る様な番組に為るのが、オチでは無いだろか。

アメリカのメディアを一方的に褒める気は毛頭無いが、昨今日本の下らないニュース番組や娯楽番組、腰が抜ける程に甘っちょろい恋愛ドラマ、垂れ流しのスポーツ番組等を、したり顔で制作している連中は、彼らの「最低限の文化教養」や「スポーツの醍醐味」を見せると云う意気込みを、今一度視聴者のレヴェル、そして延いては啓蒙も含めて見習うべきであろうと思う。

何はともあれ「パピー・ボウル」と「ランジェリー・ボウル」、是非一度ご覧あれ!