目に「一信」、食「歌舞伎町」、「初かつお」。

暑い…暑すぎる!

この3日間は湿度も高く、昼間歩き倒すと汗だくに為る程で有った。

そんな昨日の午前中、先ずは某所に、最近購入した古美術品を引き取りに行く。中々面白いモノなのだが、それが「何か」は勿論内緒…自然光で観ると最高に素晴らしい、とだけ云って措こう。骨董数寄とは、則ち「病」である(笑)。

家に持ち帰り、飾ってニヤニヤした後は、九段に在る行き付けの蕎麦屋「I」で、「胡麻だれせいろ」と「湯葉刺」。駿河台の我が家の回りには、行き付けの蕎麦屋が三軒程有るのだが、何れも旨く、神田生まれの蕎麦好きとしては、週間ローテーションを組んでも良い位なのだ。

ランチ後は汗を拭き拭き、江戸東京博物館で開催中の「五百羅漢 狩野一信」展へ。山下裕二先生渾身のこの展覧会は、幕末の絵師狩野一信がその死迄描き続けた、芝増上寺が秘蔵する「百幅」の五百羅漢図「全て」を、一斉に展覧する物である。

100幅の内の最後の10幅は、一信の死後妻と弟子に拠って描かれたらしいが、良く観ると、成る程絵に力とその独特な「毒気」が足りない…其れ程に、一信の絵画は物凄い。「洋風画」風有り、SF風有りと云った、これでもか!的な執拗な作品群だが、個人的には「六道」の「地獄」と「畜生」が最も好きで、絵画的クオリティもかなり高いと思った。

気に為ったのは、幾つかの軸の状態で、所々絹本が浮いてしまっている箇所が有る…長い年月収納されていた作品が、急にライトに照らされたからかも知れない。

一信展を堪能すると、今度は電車を乗り継いで、「白金アート・コンプレックス」へ。

山本現代」や「NANZUKA UNDERGROUND」を観て、「ロンギヤラ」で久々の「姫」やウィルと話していると、田島整氏が出先から戻られ、素晴らしい作品を拝見しながら四方山話…長年の友人でロンドン大学SOASで教鞭を取るのジョンが、何とメトロポリタン美術館の日本美術キュレーターに為ったとの、大ニュースを聞く。

夜は茶人千宗屋氏を訪ね、「初かつお」(!)と云う名の、名古屋のお菓子で一服頂く。

このお菓子は、薄いピンク色をした「外郎」の一種なのだが、糸で切る事に因って、筋の入った「鰹の切身」に見えると云う、所謂「季節モノ」である。そして、これまた季節感タップリの床とお茶碗でお茶を頂くと、「あぁ、日本って良いなぁ…」とシミジミ思うのである。

千氏と茶室で暫く語らっていると、気の置けない友人の「雅陶堂」若き三代目、瀬津勲氏が登場、男3人でのディナーへと向かう…行き先はと云うと、皆のリクエストに拠り、拙ダイアリーにも度々登場する、歌舞伎町の「文人画風」(笑)ママチャン中華の「G」。

昨晩の「G」は何と「混んで」いて、ビックリ…ママチャンも東奔西走していたが、味と値段の方は相変わらずの素晴らしさで、千氏も瀬津氏も大満足、男3人で食べに食べた!

定番の「豆苗炒め」や「牛とジャガイモの煮込み」、「挽き肉チヂミ」から、「スペアリブの唐揚げ」や「レタス・エビ炒飯」等を食べ尽くしながら、骨董業界の四方山話・笑い話等で盛り上がったのだが、その中で出た、或る「虫」に纏わる死ぬ程笑える逸話を此処に書けないのが、死ぬ程残念である(笑)。

大満足後は、場所を乃木坂の「L」に移し、コーヒーを。

其処でも「この世で、どの茶碗が個人的にNO.1か?(和物編・唐物編)」、「美術館別・どの作品がNO.1か?」等の数寄モノ談義で、気が付けば11時…しかし、こう云った時間は、ホントに楽しく勉強になるので、欠けがえが無い。

そして今日は、最後にお知らせを。

瀬津氏が理事長を勤める東京美術倶楽部青年会が、来たる6月11・12日の両日、「震災復興チャリティー茶会」を倶楽部で催す。名品を堪能しながら美味しいお茶を頂き、しかも参加費が義援金にも為る茶会、皆さんも参加してみては如何だろうか?詳しくは東京美術倶楽部(03-3432-0191)迄、お問い合わせ下さい。

いやはや、「五月」に相応しい、良い1日でした。