最新の「アート・マーケット四方山話」、そして「ホーム・パーティー」三昧。

聞く所によると、アップ・ステートに在る、恐らく今世界で最もパワフルなアート・ディーラー、ラリー・ガゴシアンの家が、今週の頭、火事に見舞われた様である。

地元紙に拠ると、ガゴシアン宅にどれ程の美術品が有ったかは確かででは無いが、ラリー本人はヨーロッパに居たらしく無事で、火はキッチンから出て30分ほどで鎮火したとの事だが、その際ハウスキーパーが決死の働きで2点の「名品」を助け出したらしい…一体誰のどんな作品だったか、興味は尽きない。

そしてもう一つ、今朝入ってきた話題…2010年度の「世界のトップ・オークション・ハウス:ベスト5」が発表となったが、第一位は当然(笑)、クリスティーズで33億6600万ユーロ(約3947億6400万円)、2位はサザビーズで33億800万ユーロ(約3879億6000万円)、3位が北京のポリー・インタナショナルで、10億5700万ユーロ(約1239億6500万円)、4位がチャイナ・ガーディアンで8億4600万ユーロ(約992億1800万円)、そして5位がアメリカのヘリテージ・オークションで5億1800万ユーロ(約607億5100万円)であった。

驚くべきは、中国のオークションハウスが世界上位5社中2社も入っているという事で何とも凄い売り上げであるが、念の為、どう凄いかと云っておくと、この中国の2社は「中国美術品だけ」を売って、この業績だからなのである。クリスティーズサザビーズは云う迄も無く、ピカソやウォーホル等の印象派や現代美術を含む、多分野の作品を星の数程売った上での数字な訳だから、業績発表に不透明な点が有ったりその数字が少々信用に欠けるにしても、この中国2社の業績の凄さがお分かりになるだろう…恐るべし、中国である。

さて、今日金曜はクリスティーズも早く店閉まいをし、ニューヨークは「July 4th Week-end」を迎える。なので、爽やかな天候の今朝等は、街を歩いていても何時もよりも人通りが少なく、何と無く清々しい…そして今日から、2011年の後半戦が始まった。

そして今朝は、確かに清々しくは有ったのだが非常に眠くもあり、それは昨日の楽しかった或る「ホーム・パーティー」のせいである。昨晩は、友人でライターのM&D夫妻のトライベッカのロフト、「ニューヨーク3大宮殿」(笑)の一、通称「ハム御殿」でのグルメ・パーティーで有った。

メンバーはホストの夫妻の他、京都でも最も古い老舗生麩屋さん、且つニューヨークでもローワー・イースト・サイドで素晴らしい和食店「K」を経営されているK氏と、数寄屋建築の大工さんのS氏の日本からのお二方のゲスト、もうすぐ日本に帰ってしまうシンガー・ソング・ライターのSさん、「エリザベス宮殿主」のA姫とP王子、そして地獄夫妻の9人であった…が、「ハム御殿」の名の由来である4匹のハムスター達も忘れてならないのはならない!

昨晩のパーティー・コンセプトは、各々が作り持ち寄った料理をワインで食すと云う判りやすい「食いしん坊」企画だが、何とも侮れない(笑)。SさんのCDを次々に掛けながら、先ずは「スペシャリスト」P王子ワインで乾杯、Sさんの作ったポテト・サラダやA姫のブルースケッタから始まり、Mさんのスペアリヴ、ゲル妻のヴィシソワーズ、K氏日本から持参のカラスミを次々と頂く…もうどれも最高に旨くてタマラン!

「ハム」達の食事や運動時間と共に、ルイボス・ティーをガブガブ飲み続ける筆者以外のメンバーは、「バラク・オバマの大統領就任式に供された、リベラルなワイン」や「ブラジルの黒糖焼酎」等の酒も進む…そして昨晩の「メイン」は、P王子の必殺「カルボナーラ」!実はこの晩のパーティーは、P王子の新作、クリーム・牛乳を一切使わない「カルボナーラ」の試食会を兼ねていたのである。2回に分けて作られたカルボナーラは、これはもう素晴らしく美味しくて、特に「2回目」に作られた方は、これはもう満場一致で「金が取れる」出来であった!

しかし、楽しい時間はアッと云う間に過ぎてしまう物で、気が付けば深夜1時過ぎ。デザートのライチとイタリアン・クッキーを急いで頬張ると、悲しき勤め人の筆者は「ハム御殿」を後にしたのだった…後で聞くと、最後の面子は3時半頃迄飲み続けたらしいが(笑)。

ニューヨークの人々はホーム・パーティーが好きで、人数も規模も大小それぞれだが、気の合う仲間や趣味の友が「ポットラック」(持ち寄り)をして気軽に人の家に遊びに行き、迎える。其処では、新しい友人や情報を見つける事も出来、これならコストも抑えられるし、時間を気にする事も無い…日本に居た時は、余りそう云う機会が無かったが、ニューヨークの素晴らしい刺激的な習慣だと思う。

明日の夜も、再び「ホーム・パーティー」である…楽しみ、楽しみ!