「大ボケ」と、Rの講演@国際浮世絵学会。

一昨日、鎌倉へ行った後は、代官山に在る子供の頃からの行き付けのレストランOで、来日中のR&C、老舗版画版元のW氏夫妻、筆者の両親、そして我等地獄夫婦の4カップルでディナー。

川瀬巴水等の美術の話題に花を咲かせながら、美味しいオードヴル数品と、カリカリ・クルトン付きのまったりポタージュ、好みのステーキとデザートを楽しむ。

そして今朝は、早起きをして準備を済ませると、RとCを9時過ぎにホテルでピックアップし、新宿御苑内に在る茶室「楽羽亭」で開かれる、若宗匠主催の「随縁茶会」へ。

9時半には御苑の新宿門に着き、閑散とする入り口で楽羽亭の場所を尋ねると、職員からは何と、「今日は、茶会等有りませんよ」との答え…。

そんなバカな!と、今一度頂いたメールの案内を良く見ると、其処には確りと「27日」と有る…何と云う事だ、明日では無いか…日を1日間違えていた!

問題は、明日RとCはニューヨークに戻り、筆者自身も朝イチで香港へ発たねばならない事だ…此れでは全くダメでは無いか!

云い訳に過ぎないが、今回は西海岸に寄った為酷い時差ボケで、てっきり「今週末=26日」と思い込んでいたのだ…孫ー、久々の「大ボケ」をかましてしまった。

急いで若宗匠と、担当の方にメールや電話をしてお詫びを申し上げ、RとCにも勿論平身低頭…その後は人気の余り無い、しかし澄み切った空気の御苑を1時間程散策し、お茶を頂く筈だった「楽羽亭」を見学して、新宿御苑を後にした。

そして午後からは、学習院大学で今週末開催されている、国際浮世絵学会の国際大会へ。

Rの今回の来日の大きな目的で有るこの学会では、Rが自身の川瀬巴水のコレクションに就いての特別講演を行い、学会の国際委員で有る筆者が、その通訳をする事に為って居たからである。

Rの講演タイトルは、「巴水、雪と私(Hasui, Snow and Me)」…Rが如何にして川瀬巴水に興味を持ち、収集を始めたか、また「版画家」と云うよりも「肉筆画家としての巴水」等のテーマを、新出作品を含む600点以上に及ぶ自身のコレクションを通して、紹介・解説するもので有る。

講演予定時間の1時間前には学習院大学に到着し、パワー・ポイント等の準備をしたり、学会の先生方や出席者にRを紹介したりして過ごす。

そして、滔々講演時間がやって来た!

満員の会場に入ると、先ずは筆者が司会となり、Rを「想像の中で、数千人は殺している、シリアル・キラー的有名テレビドラマ脚本家です」(笑)と紹介をする。

そしてRの講演が始まると、今度は筆者は通訳と化す…Rの「流石はライター!」の原稿を必死に訳したのだが、巴水や新版画、延いてはこれからの木版画芸術へのRの熱い思いが、何とかオーディエンスに伝わったならば、筆者も本望と云う物で有る。

大成功、大喝采の講演終了後は、Cやゲルゲル妻、その姉妹も加わり、階上でのレセプションに参加。

Rは多くの学者や、美術館関係者から握手や質問を求められ、大忙し…皆一同に、外国人がこれ程迄に日本の近代作家に心酔し、収集し研究している事に驚きを顕し、祝福をした。

反面、今回の講演はRに取っても、作品に関する新しい情報や学者達の意見等が得られ、頗る有意義な物に為ったのでは無いかと思う。

そして、学者や研究者達に認められ、アドレスを交換したり写真を撮られたりの人気者に為った、嬉しそうなRの顔を見ていたら、此方も我が事の様に大層嬉しく為って来て、日々の多忙な時間を縫って、大事な顧客且つ、大切な友人で有るRの講演を手伝う事が出来て本当に良かった!とつくづく思ったので有った。

RとCは今日ニューヨークに戻り、筆者は今羽田のラウンジ…此れから香港へと飛ぶ。