クリスティーズ、2011年度の「成績発表」!

やっとニューヨークに戻って来た。

昨日のニューヨークの最高気温は何と摂氏16度で、2月だと云うのに、道行く人にはTシャツ姿の人迄見える…この「極端さ」もこの街の魅力の1つで、それ位の対応力が無いとこの街では生きていけない、と云う事なのだろう。

そんなニューヨークに帰ってきた途端、時差ボケと闘いながら夜の電話会議等をこなし、調べ物をしながらも、後10日で3月のカタログのデッドライン…体が持つだろうか。

こんな状況下では、疲れきった精神に優しいニュースが欲しい所だが、何とそのニュースがキター!「そのニュース」とは、2011年度のクリスティーズの業績発表の事…なので、今日はその事を。

さて、昨年度のクリスティーズの世界での売り上げは、36億英ポンド(約57億米ドル、約4340億円)で、前年比英ポンド・ベースで9%、米ドル・ベースで14%の増加と為った!

その売り上げ増の中でも、特筆すべきは「プライヴェート・セール」と「オンライン・ビッド」で、プライヴェート・セールの方は44%、オンラインの方は25%とそれぞれ大きく売り上げを伸ばし、そしてこの結果は、クリスティーズの「インターナショナル・アート・カンパニー」、つまり「21世紀型オークション・ハウス」としての存在感が増している事の証と云えると思う。

その売り上げを地理的に見ると、ユーロ危機が叫ばれている「ヨーロッパ」が図らずも伸びていて、13億英ポンド(約1567億円)を売り上げ(その内、ロンドン・キングストリートは、8億7160万ポンド:約1050億円)、前年比21%増。

逆に「アメリカ」(ニューヨーク)は、12億英ポンド(約1447億円)売り上げたが、前年比6%減(何故だろう…一昨年が良過ぎたか?)、「アジア・中近東」地区は、都合5億3060万英ポンド(約640億円)売り上げ、その内香港が5億1910万ポンド(約626億円)、11%増と頑張って伸ばしたが、ドバイが残念な事に65%減と為り、都合6%増と為った。

今度は部門別に見てみよう。

売り上げトップ部門は、予想通り「現代美術」部門で、前年比22%増の7億3570万英ポンド(約887億円)。2位は何と「印象派・近代絵画」を抜き、13%増の「アジア美術部門」で5億5290万ポンド(約667億円)、そして3位が28%減の「印象派・近代絵画」で5億4860万ポンド(約661億円)だった。

因みに4位は、年末に開催された「エリザベス・テイラー・コレクション」のお陰も有って、前年比何と35%増の宝石部門の3億7270万ポンド(約449億円)で有った。

次に、2011年度クリスティーズが売却した、高額商品ベスト3。

第1位はリキテンスタインの1961年度作品、「I Can See the Whole Room ! …and There's Nobody in it」で4320万2500ドル(約33億円)、2位はウォーホルの「Self-Portrait」(1963-64)で3844万2500ドル(約29億2600万円)、そして第3位は大健闘の「オールド・マスター」、ジョージ・スタッブスの「Gimcrack on Newmarket Heath」で3590万6000ドル(約27億3300万円)で有った。以下、ベスト10に入った作家の名前だけを挙げると、4位ロスコ、5位ピカソ、6位と8位にベーコン、7位ウォーホル、9位モネ、10位にヴラマンクが入り、相変わらず「コンテンポラリー・マスターズ」が強い事が判る。

今月は、大好きなルシアン・フロイドの「ステュディオ・アーカイヴ・エッチング」セールを含む、ロンドンのメイン・セールが予定されているし、3月は愈々筆者担当の日本・韓国美術を含む、ニューヨークの「Asian Week」が開催される。

今春もクリスティーズから、眼が離せませんぞ!