文句は云わない。

この期に及んで、一昨日からは、一泊で地方出張。

朝5時半に起きて羽田に向かい、鉛の様な体を引き摺りながら、機内の照明はレインボー・カラー、トイレはブラック・ライトな新機種、ボーイング787に飛び乗る。

その日はお2人の顧客の作品を拝見し、夜は午後にお会いした顧客夫妻と、非常に美味しいディナーを頂く。

ディナーは和食かと思いきや洋食で、伺ったレストランの若いオーナー・シェフで有るTさんは、南仏で修行したそうで、この付近で採れる新鮮な海の幸・山の幸をふんだんに使った、例えば「チキン・レバー・パテ」や「鯒のカルパッチョ」、「スープ・ドゥ・ポワッソン」(此れ等は、死ぬ程旨かった!)、「雲丹のパスタ」や「解した渡蟹のトマト・クリーム・スパゲッティ」等の、美味しい地中海料理を頂いた。

地方都市でも、最近は物件価格が下がった事も手伝って、所謂「海外修行」して来た若手料理人が店を出していて、東京等の大都市圏の店と比べても、味もサービスも決して引けを取らない。

この事を考えると、例えば料理の世界では、若者が「シェフに為る」と云う明確な目的を持って海外渡航をし、自分の夢や目的を遂行する為のストレート且つハードな努力をする訳だから、何をしたいかと云う事よりも、如何に有休が取れるか、若しくは如何に無給残業が少ないか等での、会社のランク付けを気にする様な昨今の新卒学生の「就職活動」には、全く以て笑止千万な感が有る。

何故なら、やりたい仕事、楽しい仕事、自分の生涯を賭けたいと思う仕事ならば、有休や残業の事等考える事も暇も無いに決まって居るからで、そう云った仕事を早く見付けられる様な学校・家庭での教育、若者に多くの「異なる世界」を見せる、また見たいと思わせる環境作りこそが、今の日本に必要なのでは無いだろうか。
そして筆者はと云えば、その地方都市に居ながらにして、南欧気分を満喫して一泊した翌朝は、別の街での査定の為に、朝8時過ぎの船に乗って、穏やかな海を眺めながら海を渡ったので有った。

「海の向こう」で朝から夕方迄確り掛かった査定を終え、最終便の飛行機に乗り東京に戻ると、掃除とパッキングをして仮眠、そして今、ニューヨークに帰る為、成田のラウンジでこのダイアリーを記して居る。

この2ヶ月でニューヨーク⇔東京を3往復、そして今回の滞在は人間ドック、脳ドック、下見会、亡き父の「偲ぶ会」、地方出張とかなりのハード・スケジュールだったが、文句は云うまい…「好きな仕事」をしているのだから。

そしてニューヨークに戻って早々、日本クラブの為の「メトロポリタン美術館・日本ギャラリー・ツアー」が控えて居り、来週は愈々「アジア・ウィーク」が開幕し、下見会も始まる。

グッバイ・ジャパン…でも文句は云うまい…が、やっぱり一言だけ云わせて欲しい。

超〜、疲れた(笑)。