「神の手を持つ男」への依頼。

ニューヨークの天候も漸く良く為って来たと云うのに、この地球上で日本だけが「ゴールデン・ウイーク」なる物に突入した事も含めて(笑)、イラッとするニュースが多い。

先ず一昨日のニューヨーク・タイムズで、訪紐育して居た猪瀬東京都知事の、オリンピック招致に対する問題発言が取り上げられた。

此処に添付するが(→http://www.nytimes.com/2013/04/27/sports/in-praising-its-olympic-bid-tokyo-tweaks-the-others.html?_r=0)、要するに「イスラム国家の都市(候補地イスタンブールを指す)は、ロンドンや東京の様な西洋先進国首都に比べると、各方面に於いて劣っている」「イスラム同士は争ってばかりだ」と云った内容の発言で、ニューヨークでは決してしてはいけない、異文化差別(或いは下に見る)発言と捉えられて居る。

記事に拠ると、オリンピック招致に関しての規定には、他の候補地のマイナス要因を出して足を引っ張るのはご法度と有るらしい。招致を図っている位だから、都知事は当然規定位は知っている筈だが、その上でこう云った内容を平気でニューヨークのマスコミの前で話す神経を持つ首長が治める都市や国等は、インターナショナルな行事の開催に熟く相応しくないのでは、と思う。

もう1点云って置きたいのは、猪瀬知事がのこのこニューヨーク迄出て来て学ぶべきは、24時間運行して居る地下鉄も良いが、そんな事よりも「何故ニューヨーク市には、オリンピック招致等必要無いのか?」と云う事だ。

まぁ今回は、余程の事が無ければどうせ東京は落選するだろうから、その時には都行政や新銀行の責任を投げ出し、「我欲」の為に国政に戻った石原慎太郎と共に都民の血税を使いたい放題使ったツケを、都民は都知事に払わせるべきだろう。

また、福島の汚染水の濃度も上がって居るのに、東電は未だに「監視する」等と悠長な戯言を繰り返している。全く以て何奴も此奴も、何でこんなに無責任極まりないのだ!そしてそんな中「ニコニコ動画」では、安倍総理は喜々として戦車に乗り、コスプレ相手に手を降りながら、「憲法第96条」の改正を声高に叫んでいる。

憲法改正に必要な議員の賛成票を、全議員の「2/3」を「1/2」にするだと?「比例代表制」等と云う「ゾンビ当選議員」を生み出し、選挙定数是正も満足に出来ない政党党首のこの発言はお笑い種で、昨日の参院山口補選の投票率(今回38.68%:前回は61.91%)を考えても、全く以て片腹痛い。

「総理の出身県」での「総理任命後最初の選挙」でこの体たらくなのだから、何処が「自民圧勝」なのか理解出来ない…況してや地元の選挙民の政治への関心すらも高められない人間が、国家の「憲法改正」とは笑止千万。

こんな投票率を見ると、国会議員が国民の総意を代表している等とは到底云えない訳だから、1票の格差を完全撤廃し(何故「2倍弱」で満足するのか、意味が分からん)、投票率の有効最低ラインを設ける事(最低7割は必要だろう:国民投票に関しても同様だ)から考えるべきだろう。そしていい加減、投票をしない人間には、国からのサービスを打ち切る位のペナルティを課さねばならない。

怒り序でに、もう一点。最近の宮内庁長官に拠る「雅子様オランダ訪問」に関する発言…あれも本当に酷かった。結局雅子様はオランダに行かれた様だが、何がムカつくと云って、一介の役人が「皇太子妃の『健康問題』で遅延している決定」に就いて、早く返事をしろ等と「マスコミの前」で催促・苦言を呈する等、以ての外で有る。

百歩譲って、「皇室に対するリスペクトは、個人の問題」と云うならそれでも良いが、雅子様が「病気」で有る事はもはや周知の事実なのだし、皇太子ご夫妻や皇室が妃の公務を含めた海外渡航の可否が、「病気」と云う原因で熟慮されて居る事も分かっている訳だから、そんな事は宮内庁と皇室の間だけで話をすれば事足りるので有って、何も人前(マスコミの前)でペラペラと話す事では無いし、況してや「早くしろ」とは、一体何様の積もりなのだろう・・・あんな非常識な役人は、即刻罷免すべきだ。

しかしこの国の指導者達は、一体全体日本国をどうしたいのだ!?

さて上昇し続ける血圧を下げながら、やっと此処からが今日の本題…賢明なアート・ファンで有る読者の方々は、「ゼロ」と聞いて一体何を連想されるだろうか。

コカ・コーラ」や「スプライト」、それとも数理式?…イヤイヤ、アートに関わる者が「ゼロ」と聞いて思い出さねば為らないのは、青年漫画誌「スーパー・ジャンプ」で1990年から2011年迄連載された、「ゼロ THE MAN OF THE CREATION」だ!

何故なら、この20年以上に渡って続いた原作:愛英史、作画:里見桂の「贋作者」コミックは、「ギャラリー・フェイク」や「オークション・ハウス」ですら全巻買わなかった漫画嫌いの筆者をして、単行本「78巻」全巻を揃えさせたからで、その事実からしてもこの「ゼロ」と云う作品が、傑作中の傑作「アート・コミック」だと云う事がお分かりに為るだろう。

本作の主人公、謂わば「アート・ワールドの『ゴルゴ13』」(笑)とでも呼ぶべき存在で有る「ゼロ」は、画商の陰謀に巻き込まれ自殺してしまう父親、天才陶芸家榊万作の子榊零として生まれるが、父親の自殺後渡米、有りと有らゆる分野と時代の美術史と芸術作品の制作技術を学び、古今東西の「アーティスト本人」に為り切る事に拠って、贋作ならぬ「本物」を創る贋作者、或いは「神の手を持つ男」と呼ばれる様に為る。

そしてゼロの「贋作」、いや「再現される『本物』」は、この地球上に存在する如何なる絵画・陶磁器・彫刻は固より、刀剣・金工・漆工・紙・石・書・工業製品・料理(味)、延いてはオカルトや宇宙物資、外科手術や人間迄に及び、それ等は彼の持つ恐るべき記憶力と全宇宙森羅万象の「モノ」に関する膨大な知識、そして如何なる「モノ」の制作者にも為り切れると云う感受性に因って完成させられて居る為、ゼロの創り出す「贋作」には、どんな科学的検査や鑑定をしても「本物」との判断・鑑定しか出ないのだ。

また、ゼロが「アート界の『ゴルゴ』」と呼ばれる理由の1つに、依頼主に極めて高額な報酬を要求すると云う事が有る。が、彼は悪人の金持からは全財産を毟り取るが、善人からは高額な報酬を取ったとしても必ず何某かの心理的・精神的「宝」を遺したり、結局何も報酬を取らなかったりと、非常に人情家の面も持ち合わせて居るので、其処はゴルゴ13とは全く異なるキャラクターと云えるだろう。

この「ゼロ」の一話完結の各話に登場する作品や作家は、実在の人物や物の場合も多く、ストーリーには歴史的且つ美術史的裏話も数多く含まれて居る為、勿論全て鵜呑みには出来ないが、知的冒険の楽しみも多い。

なので、「ゼロ」を未だ読んだ事の無いアート・ラヴァーには、是非とも一読をお勧めしたいが、此処で質問…もし「ゼロ」に1件、何でも依頼出来るとしたら、貴方はどんな「本物」を依頼するだろうか?

今の筆者なら、そう、日本人が嘗て持っていた、しかし今や忘れ去ってしまった精神や責任感の強さ、清廉さを併せ持つ、例えば西郷南洲の様な「気骨の有る『本物』の政治家」の再生を、ゼロに依頼してしまうかも知れない。

オッと、1つ大事な事を書き忘れて居た…ゼロは「本物」を作った後、「本物は1つで良い」と云うキメ台詞を吐き、2つに為った「本物」の内の1つ(通常今迄有った物の方)を破壊してしまう。

今迄「本物」として扱われて来た政治家の皆さん、破壊されぬ様どうぞお気を付け遊ばせ(笑)。