即今。

下見会が終了し、ホッと一息…とは行かず、土曜日は午前中から某顧客宅を訪ね、最近の「収穫」を共に鑑賞。

そしてその「収穫」たるや驚くべきモノで、思わず唸る墨蹟・曼陀羅軸から雅楽面、焼夷弾・手榴弾花入、放射能を含んでいる(かも知れない)ガラス玉迄を堪能し、最後は「進め一億火の玉だ!」と拳を振り上げて、蓄音機のレコードと共に大合唱(笑)。

辛目の中華のお昼を一緒に頂いた後は、その足で新幹線に飛び乗り、京都へ作品の「第三者」査定に向かう。

「大名品」の査定後は大阪に行き、旧知の某美術館館長と最近大阪の美術館に移籍した学芸員と3人で、珍味「カニミソ・ピッツァ」等を肴に一杯。

そして翌朝早く、眠い眼を擦り擦り頑張って起き、今度は東京へとんぼ帰りする新幹線に飛び乗る…2時からサントリー・ホールで開催される、ジョン・ケージ生誕100年、没後20年を記念してのイヴェント「即今−ケージ・ミュージサーカス・イン・東京」を観る為で有った。

このケージに拠る、ミュージックとサーカスをミックスした造語「ミュージサーカス」とは、同じ会場で様々な上演が同時進行するマルチメディア・パフォーマンスで、1967年にイリノイ大学で行われたイヴェントに由来する。

今回の「ミュージサーカス」は「即今」と云うテーマを掲げ、表現者達が「2012年の日本」を自由に解釈し、何と「易」で占われたタイムテーブルに則り、独自のパフォーマンスを繰り広げると云う物だ。

武者小路千家家元後嗣、茶人千宗屋、慈照寺花方珠寳、笙奏者宮田まゆみの各氏に拠るケージへの献茶、献花、献曲、その最中に時折不規則な音を起てる現代美術家杉本博司氏の「放電器」インスタレーションで始まったこのイヴェントは、村治奏一君のギター演奏や、立礼での呈茶、ダンスやピアノ演奏も有り、入場無料、出入り自由、複数同時進行、情報皆無な所は、成る程何処かの公園でのサーカスの様相を呈した。

そして、呈茶で使われた棗には「君が代」の楽譜文があしらわれ、またお菓子は虎屋製の、これまた「楽譜」をイメージしたモノが出される…しかも五線譜だけで音符の書かれていない箇所がクサマヨイに当たり、これぞケージの真髄…当に「4分33秒」の世界で有った(笑)。

夜は夜で、作家S氏ご夫妻&息子さんと、中野のディープな夜を堪能。

「サンロード」と「ブロードウェイ」、「昭和横丁」を散索し、特に「ブロードウェイ」のオタク度と日曜の夜だと云うのに多くの人で賑わう「横丁」には、驚愕の一言!

食事後、長屋を改造したスナックの2階のソファで飲みながら、オリンピックの話等で終電迄盛り上がったが、結局この夜作家氏から学んだ事は、重量挙げのバランスの取り方と卓球に於ける対戦相手の掛けるスピン予想、そして「スナック」と「バー」の違いだった(笑)。因みにその違いとは、

「ママ」の声が酒焼けしていて掠れていたら、其処は「スナック」で有る…

らしい(笑)。

日本滞在も後3日。