「財産」と加山雄三的「幸福感」を感じた夜。

今日は、3つの嬉しいニュースから。

先ずは新設された「Nissan Art Award 2013」の発表が有り、大賞は宮永愛子氏、そして我らが「達っつぁん」こと西野達氏が「審査員賞」を受賞した…ウーム、我が事の様に本当に嬉しい!世界のTatzuとして、これからもドンドン活躍して頂きたい。そして、賞金でガッツリ奢って貰いたい(今の所無いらしいのだけど…)!

2つ目は、来る11月12日の現代美術セールに、エリック・クラプトン所蔵の大作リヒターが出品される事が発表された事。

その作品は1994年作のオイル・オン・カンバス作品「Abstraktes Bild (809-1)」で、サイズは224.8 X 200cm.、エスティメイトは2000万ー2500万ドル。筆者はリヒターのこのシリーズはそう好きでも無いのだが、黄色と緑を基調にした本作は素晴らしいクオリティの作品で、流石クラプトン(?)な逸品…現役最高額作家リヒターの自己新記録を塗り替えるのではと期待されているので、結果に注目したい。

そして、3つ目…26日、クリスティーズが上海に於いて中国本土史上初と為る「外国オークション会社に拠る単独オークション」を開催し(今迄は中国企業との合同でしか開催出来なかった)、大成功を収めた!

出品作品はワイン、時計、宝石、ピカソやカルダーを含んだ西洋近現代美術、そして蔡國強等の中国現代美術を含む計43ロットの所謂「ミックスド・セール」だったが、不落札は3点のみ。ロットで98%、ヴァリューで96%を売り、総額1億6888万3500元(約27億2578万円、2691万5700ドル)を叩き出したのだ。

トップ・ロットは、ルビーとダイヤのネックレスで2115万元(約3億4000万円)。次点には隋建國の石膏&ブロンズの彫刻作品「衣紋研究系列」の1203万元(約1億9400万円)、3位にピカソの「座る男」が外国絵画として最高額の1155万元(約1億8650万円)。

もう1つ良かった点は、今回出品された西洋絵画の成績が4勝(ウォーホル、ピカソ、ルシェ、カルダー)1敗(モランディ)だった事で、今迄も西洋近現代絵画分野での中国人バイヤーは居たには居たが、今回の結果に拠って、中国でのオークションに於ける外国絵画マーケットの可能性も見えて来た様に思う。

また高額トップ3には入れなかったが、売り上げが「泉州當代藝術館」建設の為の資金として作家から寄付される事に為って居る、蔡國強のパブリック・パフォーマンス作品「Home」(→http://www.christies.com/lotfinder/paintings/home-5727270-details.aspx?from=salesummary&intObjectID=5727270&sid=7cc6c60e-4431-48c1-ad2e-bd6334e02593)は、1500万元(約2億4000万円)で売却(この作品の売り上げからは、クリスティーズは手数料等を一切取らない)…こう云ったチャリティー的な試みも、今後中国で増えて行くに違いない。

これからも、クリスティーズの中国本土オークションから眼が離せない!

と云う事で、話は此処から激変するのだが(笑)、ヘルズ・キッチンに最近出来たニュー・ウェイヴ・チャイニーズの「H」が非常に旨い。

この店は先日顧客夫妻に連れられて行った、或る意味非常に「バブリー」な店なのだが、それは此処ニューヨーク以外にもマイアミやベガス等全米に計5店舗、ロンドンに2店舗、その他ムンバイ、アブダビ、ドバイ、ドーハ、そして上海に店舗を持って居る事からも分かる様に、「世界で金のなる場所」だけに進出しているから(だから未だに、東京には無いのだ…)。

店舗は、元パーティー・グッズ・ショップだった体育館並みに広い敷地(11000 sq. ft. =約1023平米)を誇るが、内装はハッキリ云って成金趣味でダサ目…がしかし驚くべき事に、料理は可成り美味しい!客層も見るからに成金そうな中東系やインド系のカップルや家族連れ、ウォール・ストリート系の兄ちゃん達で一杯で正直「ウーム…」だが、味に釣られてまた行ってしまうかも知れん(笑)。

さて今週は知人友人と会う事も多く、火曜の夜は来紐育中のNANZUKAの南塚君に誘われて、グラフィック・デザイナー田名網敬一氏と化粧品会社Sephoraとのコラボワークの発表パーティーに出席する為、ミート・パッキング・エリアの「セフォラ」へ。

このコラボレーションは、アメリカ進出15周年を記念したセフォラの北米キャンペーンの一環で、13丁目店の店内には、田名網氏制作のFRPに金メッキを施し、リップスティックが体に散らされた「千手観音+琳派の波」的セクシー・スカルプチャーが聳え立ち、素晴らしい出来のアニメーション作品が流れて居て、「ジャパン・キッチュ」な雰囲気…田名網作品がコスメ商品の並ぶ店内と良く合って居て、大変面白い。

会場では、田名網氏(77歳)に負けず劣らず元気な、最近映画「Cutie and the Boxer」(→http://www.youtube.com/watch?v=YXS6Aby5AUg)も公開されて、道で見知らぬ人に声も掛けられる様に為ったと云う牛ちゃん(篠原有司男氏:81歳)夫妻や、デザイナーの伊藤桂司氏等とも歓談。

久し振りの南塚君も元気そうで安心したが、イヴェントが始まった直後、会場に来ていたモデルらしき女性が田名網氏のスピーチ中に何と失神し、救急車が呼ばれると云うアクシデントが有ったのだが、後で聞いたら彼女はモデルでは無く、Vogueの記者だったらしい。「痩せてなきゃいけない」と云う強迫観念は、モデルもファッション記者も同じなのだろうか…(嘆)。

そして昨日は昨日で、中華街に程近いロウワー・イーストサイドに顧客が新しく開いたギャラリーのオープニングに顔を出した後、2ヶ月に亘る比叡山での修行を終えて漸く下山し、ニューヨークに戻って来た若い友人S君(23歳)の「お帰り食事会」、メンバー中3人の為の遅れ馳せながらの「30/40/50バースデー」、そしてマヨンセの姉の来紐育歓迎会を兼ねた食事会を、チェルシーの「B」で。

バーで偶然、プーさん(ジャズ・ピアニスト、菊地雅章氏:73歳)と会ったのにも驚いたが、テーブルでS君の山での苦労話に花を咲かせて居ると、追ってアート・ディーラーY氏夫妻や国際機関O氏が加わり、此処には到底記せない「ピー音」を入れざるを得ない過激発言も数多飛び出しつつ(笑)、結局総勢8人で閉店迄爆笑の連続の大盛り上がり…楽しい仲間達との、目出度いディナーと為った!

今回の山での極限的な修行は、S君の人生に於いて大変な「財産」に為ったと思うが、今日此処迄自分が記して来た「嬉しい、楽しい、美味しい、目出度い」と云った言葉…こう思えるのも、単に「人に恵まれて居る」と云う、ワタクシが持つ唯一の「財産」のお陰。

「僕ぁ、幸せだなぁ…」との加山雄三的幸福感(笑)を、熟く感じた一夜で有りました。


◎筆者に拠るレクチャーのお知らせ
●「特別展 京都洛中洛外図と障壁画の美ー里帰りした龍安寺襖絵をめぐって」
日時:2013年11月16日(土)、15:30-17:00
場所:朝日カルチャーセンター新宿教室
サイト:http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=220110&userflg=0
問い合わせ:朝日カルチャーセンター新宿教室(03-3344-1941)迄。


奮ってご参加下さい!