感動の「大和屋」と「大播磨」、そして「栗プリン」。

先ずはお知らせ…ワタクシ、今晩7時からネット配信局「Dommune」にて、天才アーティスト西野達氏を生インタビュー致します!

この企画はDommune山本現代の共同企画で、全方位アーティスト宇川直宏の作品「Dommune University of Arts 『The Hundred Japanese Contemporary Artists / session 3』」の第26回。

Dommuneは2010年の開局以来、総視聴者数4500万人を超えるインターネット・ストリーミング局。そして宇川氏のこの企画は、現代日本を代表するアーティスト100人を選び、その作家の個人史やアート・コンセプトをライヴ配信、その翌日からホワイト・キューブ展示スペース(山本現代)に於いて作家作品と共にアーカイヴ上映すると云う、ライヴ・パフォーマンス&アーカイヴ・アートの双方を実現するモノだ。

その100人の1人に選ばれた、敬愛する天才アーティスト西野達氏を公開インタビューするなんて、僕に取っては荷が重い気もするが、若しかしたら彼の「真実」に迫れるかも知れないし、プラス2時間の間に幾つか企画も用意して居るので(逮捕されない程度にですが…笑)、乞うご期待!

公開生放送なので、お時間の有る方は渋谷のドミューンで(渋谷区東4-6-5, サンライズビルB1、入場料1500円)、若しくはネットで今晩お会いしましょう!(観たい…でもどうしても観れないと云う方は、放送翌日より山本現代にてご覧になれます→http://www.yamamotogendai.org/japanese/exhibitions

さて、座骨神経痛と歯の治療で延びて仕舞った日本滞在だが、そのお蔭で会えた人や出来た仕事も有り、矢張り世の中は良く出来て居る。

其れは例えば、現代陶芸美術家のK君を横浜に訪ねて作品を観たり、丸々と太った大学時代の同級生NとFの2人と呑んだり、ドミューンでインタビューする達さんと「打合せ」と称するサシ飲みしたり、或いは某社長との会見で将来に向けての良い話を頂いたりした事なのだが、その中でも久々にお会いしたかいちやうとの半日は、誠に有意義で有った。

昼前にお邪魔した茶室で、先ずは一服…今の僕の胸に響く、何の衒いも無い禅僧の軸と、大茶人のこれも心を抉る銘を持つ茶碗で頂きながらの話は弾み、一服どころか三服も頂き、一時も経った末にお互い漸く腰を上げ、日本橋三井記念美術館へと向かう。

三井記念美術館では現在「蔵王権現と修験の秘宝」展が開催中で、初っ端の展示室には僕等の眼が歓喜の色に染まり、此方も踊り出したく為る程のクオリティの蔵王権現像達がズラリと並んで居て、まるで「Disco Shugendo」の様相を呈する(笑:そう云えば、嘗て六本木に「Nirvana」と云うディスコも有った…)。

幾つか「欲しいっ!」と思わず口走って仕舞う作品に名残を惜しみながら階下へと降り、マンダリンのビュッフェ・カフェ「V」でランチ為ったが、この「V」の「ビュッフェ」ランチは前菜とデザートがビュッフェ形式で食べ放題で、パスタかリゾットだけがチョイスと云う、スイーツ男子な我等には危険極まる場所なのだが、案の定食べ過ぎて後悔(涙)。

その後我々が向かったのは、湯島天神…現在宝物殿で開催中の展覧会「『天下一』茶人古田織部 没後400年特別巡回展『利休を超えた織部とはー?』」を観る為だ。

展覧会タイトルからして「?」な展覧会だったが(何時織部が利休を「超えた」のだろう?)、会場には有馬猊下所縁の作品も含め、茶碗や香合、消息や懐石道具迄が所狭しと並んで居て、一寸窮屈な展示。そして驚いたのは、仕覆や箱が作品と共に並んで居ない点で、この辺も一寸理解に苦しむ。

また今晩のトークの前勉強の為に向かったのは、東雲のTOLOTで開催中の達っつあんの展覧会「西野達 写真作品ほぼ全部見せます」。

達っつあんの写真、ドローイングとヴィデオ作品は、TOLOTの巨大空間で見るとこれまたよく見えるのだが、何よりも彼のアートのスケール感がより強く観者に伝わるし、「ミラーボールマン」や「マーライオン」、「コロンブス」等の「貴方も買える」代表作に拠って、「西野史」を辿れる画期的な展覧会だ。本展は10月末迄開催して居るので、是非足を運んで頂きたい。

そして舞台芸能の方も…今回日本最後の観劇は、歌舞伎座での「秀山祭九月大歌舞伎」の夜の部、通し狂言伽羅先代萩」。

この「伽羅先代萩」には吉右衛門玉三郎染五郎菊之助と云う、僕が今歌舞伎界で最も好きな役者達が出て居るので、期待も可成り大きかったのだが、この晩の舞台はその期待を裏切らない処か、誠に「素晴らしいモノ」で有った!

特に乳母政岡を大熱演した大和屋(&その敵の八汐役の歌六が、これ又憎たらしい程の大名演!)と、特に暗闇の中蝋燭の灯に照らされて巻物を咥えて登場し、一言も口を利かないのにその圧倒的存在感が凄かった仁木弾正役の播磨屋は、「大播磨!」と掛声も掛かる程のもう千両役者の貫禄で、思わず唸って仕舞った程素晴らしい。

そして序でに、もう一つこの晩の「素晴らしいモノ」を挙げるとすれば、30分の幕間に外に出て珈琲を飲みに行った、歌舞伎座隣の「文明堂カフェ」で頂いた「栗プリン」だろう!

「マロンちゃん好き」のワタクシが偶然メニューで見つけたこの「栗プリン」…甘過ぎず、栗のテクスチャーを残しながらのマッタリ&サッパリした食感は一寸驚きの旨さで、マロン好きの人には是非一度食する事をお勧めする。

Brutus編集部様、一昨年の「あんこ好き。」特集(拙ダイアリー:「『アート』より『あんこ』」参照)に続き、是非「マロン好き。」特集を組んで下さい…マロン好きはこの世に数多居るのです。そしてこのボクを雇って!笑

大和屋と大播磨、そして栗プリン…歌舞伎座界隈の「素晴らしいモノ」達に感動し捲った一夜でした。


ーお知らせー
*Gift社刊雑誌「Dress」にて「アートの深層」連載中。9/1発売の10月号は「平和」と云う「こわれもの」に就て。

*9/8@19:00より「Dommune」出演。天才現代美術家西野達氏をインタビューします。詳細はコチラ→http://www.yamamotogendai.org/japanese/exhibitions